ゆっくり歩け、たくさん水を飲め

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2017年のノーベル文学賞は、英国作家のカズオ・イシグロ氏に選ばれました。日本作家の村上春樹氏は受賞を逃しました。

みなさんはカズオ・イシグロのことを知っていましたか。

私は、映画化もされていた「わたしを離さないで」を読んでいたのでなんとか知っていましたが、日本人の中には知らない方も多いのではないでしょうか。「日の名残り」はまた今度読んでみたいと思います。

毎年この季節になると今年は村上春樹がノーベル賞を取るのかどうかいつもニュースに注目してしまいます。今回もNHKの生放送を見ていました。村上春樹はどんな気持ちなのでしょうね。本人はあまり気にしていないと言っているようですが、ここまで騒がれると気にしないわけにもいかないと思います。

村上春樹は、とても人気のある作家のひとりではありますが、何がいいのかと言われてもなんとも言いようがありません。だから、私も多くの作品を読んではいますが、結局何がよいのかと言われると答えに窮してしまいます。もしノーベル文学賞に選ばれたら何と評されるのか興味深いです。

村上春樹の作品を読んでいて特徴的なのは「こちらの世界」と「あちらの世界」というパラレルな世界感です。

しかも、その境目はとても繊細かつ微妙なので、自分でも気づかぬうちにその一線を越えて「あちらの世界」に足を踏み入れてしまうのです。これは私の個人的な解釈ですが、よくそう思うことがあるんですよね。ふと、「ああ、これはいつもと違う世界にいるな」と。

そして、村上春樹の小説の面白いところは、作品と作品が微妙に繋がりあっているということです。全く気にもとめていなかった物事や登場人物が全く違うところでつながっていて、世界と世界が繋がり、それが物語を作り上げていくのです。

ちなみに題名の「ゆっくり歩け、たくさん水を飲め」は、小説のアフターダーク に出てくるある男のモットーです。

「僕の人生のモットーだ。ゆっくり歩け、たくさん水を飲め」

引用:アフターダーク P208

よくわからないのだけど、一度見たらとても気に入ってしまいました。

生きていると辛かったり、悲しかったり、絶望したり、びっくりしたり、いろんなことがありますが、そんなときはとりあえず「ゆっくり歩いて、たくさん水を飲め」ば、なんとかなりそうな気がしてきます。

なぜか私の心をつかんで離さないフレーズのお話でした。

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)