今年は100㎞マラソン10時間切りを目指します

私の趣味は長距離走です。マラソンですか?と言われますが、もっと長くて険しいのを好みます。

海外駐在しているときに山を走るレースがあることを知って面白そうだと思っていきなり100㎞レースに出場したのがきっかけです。

もちろん完走なんかできるわけもなく、60㎞位で身体が動かなくなりリタイアしてしまいました。エネルギー不足、俗に言うハンガーノックという状態に陥ってしまったのです。

たとえ体力に自信があったとしても100㎞を走り切るには適切なエネルギー補給が欠かせません。これを怠ると速いランナーもたちまち走れなくなります。走る距離が長くなればなるほど、走ること以外のことにも気を遣わなければならないことを学びました。

なるほどこれは奥深いスポーツだ、と魅了されました。そして鍛錬を続けていくうちに走れる距離が伸び、体つきも変化し、自分の身体の動きに敏感になっていきました。足の踏み出し方、着地の仕方、地面を蹴る感覚、そういった動作の一つ一つの感覚が研ぎ澄まされていくような気がします。

私の奥深くに眠っていた野生の本能が目を覚まし始めたのでしょうか。もっと険しいコースを、もっと長い距離を、もっと速く、軽やかに走りたい。そんな衝動に突き動かされて世界中の山を走るレースに出場するようになりました。

私が100㎞のロードレースを始めたのは昨年のことです。普通は順番が逆なんですけどね。山を走り始めてから平地にいくというのはレアなケースです。

マラソン位の距離だとハードウェア(身体能力)が大事になってきます。しかし、距離が長くなるにつれてハード以外のもの、いわばソフトウェアが大事になってきます。つまり、100㎞を最も効率よく走るために自分の身体をうまくコントロールするアプリが必要です。

だから100㎞を超えるようなレースは面白いです。当然100㎞走るのは辛いですし、それなりのトレーニングも必要です。しかし、短距離と比べて頭と身体をうまく使わなければならないところにやりがいを感じます。

100㎞マラソンとかに出ると「何を目指してるの?」とよく言われます。珍しいことをやっている人を見つけるとすぐに「何を目指しているの?」と聞く退屈な人が現れる。

別に何も目指していません。敢えて言うならば完全なる静寂ですが、これを言うとさらなる混乱を招きます。私はただ身体がそれを求めているからやっているだけなのです。

映画が趣味の人、EXILEを追っかけるのが趣味な人、盆栽が趣味の人、今はいろいろな趣味があります。その人たちは果たして「何かを目指している」のでしょうか。

もしかしたらその分野での世界一を目指しているという人もいるかもしれません。しかし、多くの人はただそれが楽しいから、好きだからやっているだけだと思います。

確かに100㎞を走るのは普通ではないというのは認めます。しかし、ちょっと前まで自分の脚を使った長距離移動は普通にみんなやっていたことです。数千年~数万年前とかの話ですが。

むしろ最近私たちが趣味と呼ぶようなものの多くが最近になって姿を現したものです。昔の人からみれば、それこそ「何やってんの?」と思うはずです。

人になかなか理解を得られにくい趣味もあるでしょう。それでも自分が好きならとことんそれを極めればいいと思います。そこに価値が生まれます。

長い距離を走っていると数万年、いやもっと遥か前から脈々と受け継がれた遺伝子?が呼び覚まされるような気がします。

今年も100㎞マラソンにエントリーしました。今年の目標は10時間切りです。キロ6分を100㎞続けるとちょうど10時間です。キロ6分ってそんなに速くないんですけどこれを100㎞続けるのは結構難しいです。ちなみにベストタイムは10時間9分なので、これを更新して10時間切りを目指します。

今年はどこまでいけるだろうか。

長い距離を走っていると辛い時もあれば楽になることもある。まるで株式市場が楽観と悲観を繰り返すように。その中で同じペースを淡々と刻む難しさは、投資とどこか似ているところがある気がします。