ロイヤルダッチシェルのスクリップ配当なくなった?

先週RDSAとRDSBの配当金が振り込まれました。ロイヤルダッチシェルですね。AとBで配当金の課税など異なるのでもう一度整理しておきたいと思います。

今回の配当金はそれぞれ下記の通りです。

  • RDS.A 0.94USD×3株=2.82USD-15%(外国税)=2.4USD
  • RDS.B 0.94USD×180株=169.2USD(外国税なし)

ご存知の方もいらっしゃることかと思いますが、ロイヤルダッチシェルはA株とB株が存在します。A株はオランダベース、B株はイギリスベースで配当金にかかる税率が異なります。A株が15%、B株が0%です。詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。

したがって、配当金だけみるとB株の方がよさそうに思われます。RDS.Aの方が株価が安いのですが、配当金にかかる税率15%が大きいためRDS.Bの方が配当金を多くもらえます。

しかし、ある条件においてはRDS.Aの方が有利になるケースがありました。以前読者の方に教えてもらいました。

それはスクリップ配当を選択するケースです。日本ではあまりなじみがないですが、英国ADRでは配当を株(スクリップ)で分配する仕組みがあります。RDS.Aを3株保有しているのはそのためです。

ロイヤルダッチシェルの他、HSBCや確かBPもその仕組みを採用していたと思います。このメリットは配当金を購入手数料無料で再投資に回せることです。日本ではあまりなじみがありませんね。

 

ではなぜスクリップ配当の時にRDS.Aが得になるのか。

その理由はスクリップ配当を選択するとRDS.Aの配当金も課税されないからです。

RDS.AとRDS.Bは株価が異なります。しかし、RDS.AもRDS.Bも税率が同じ(かからない)で配当金も同じなら、株価が安い方を買った方が得です。

つまり、安い株価のRDS.Aを買う=多くの株を買える=配当金が多くなる。Savvy?

例えば、RDS.AとRDS.Bの株価でそれぞれ10000ドルずつで買い付けるとこうなります。(3月29日時点の株価)

  • RDS.A:63.81USD 156.7株
  • RDS.B:65.53USD 152.6株

RDS.Aの方が4.1株分多く買うことができるので、その分配当金が増えるというわけです。

そだねー、って思ってたのですが、不思議なことに今回の配当ではスクリップ配当を選択する機会がありませんでした。

いったいどういうことなのでしょうか。

 

調べてみたらこんなことになってました。

Royal Dutch Shell plc (the “Company”) has operated a Scrip Dividend Programme (the “Programme”) since the first quarter interim dividend for 2015, however the Company announced on November 28, 2017 the cancellation of the Programme with effect from the fourth quarter 2017 interim dividend. The cancellation means that the fourth quarter 2017 interim dividend and future dividends will be settled entirely in cash, rather than the Company offering a share-based alternative.

え、もしかして終わってる?

というわけで今日話したことはすべて水泡に帰しました。残念。でもこの考え方は大事だと思うのでいつか役に立つときがくるでしょう。

他にもこの仕組みを採用している銘柄があるので興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。もしかしたら思わぬ発見があるかもしれません。