「パンク侍、斬られて候」を観てきた

私の好きな作家のひとりである町田康のパンク侍、斬られて候 (角川文庫)の映画版を観てきました。ここ数年に見た映画の中で一番面白かったと思います。

町田康という作家はそこまでメジャーではないかもしれませんが、私は結構好きでいろいろと読みました。

おすすめ作品は下記です。

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

 
くっすん大黒 (文春文庫)

くっすん大黒 (文春文庫)

 
ゴランノスポン (新潮文庫)

ゴランノスポン (新潮文庫)

 

実は彼の文体の影響少なからず受けていて、もしこのブログが面白いと思うならそれは95%くらいは町田康のおかげだと思います。

どこが好きなのかというと、かなりふざけた感じなところです。異様に現実味のある話と全然ありえない設定が渾然一体となり、独特のストーリーを作り上げています。

しかし、ただのギャグ小説かというと全然そんなことはなくて、作品一つ一つにメッセージがあります。独特の世界です。

そんな小説を映画化したらどうなるのか。そもそも映画にできるのか。

そんな興味もあり公開されてすぐ見に行きました。

結論を言えば、冒頭でお伝えした通り見る価値のある映画です。

久々に良い映画を見たと思いました。キャラクターも個性派ぞろいで、普通にとても面白いです。オチもちゃんと効いています。

しかし、町田康の作品を読んだことのない人は少し戸惑いを覚えるかもしれません。

彼の作品独特なのですが、人が膨らんだり、空に浮いて花火になっちゃうとことかよくわからないと思います。ストーリーが進むにつれて「???」みたいになってしまうと思うんです。

だから、そこに翻弄されてしまうとなんだかよくわからなくなってしまったとなりかねません。

 

しかし、それがこの作品のテーマでもあります。

この作品というか町田康の作品に通底しているのは、そもそもこの世の中ってわけわからないことで満ちているよね、というか、この人生自体ありえないフィクションみたいなものだよね、ということです。

でさ、そんな嘘みたいな人生だけど、人それぞれ好きな人や大事にしたいものがある。それを大切にして生きていけばいいんじゃない。よくわからないけど。

そんなメッセージをこの映画から受け取りました。

町田康を知っている人も知らない人もこの映画を見てみてください。

考えさせられることがたくさんありました。

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)