台風とタワマンとわたし

チャーミーときたらたいしたもんだ。

9月24日、台風24号チャーミーが日本列島を縦断した。

名前はチャーミーだけど、その威力は全然チャーミーではなかった。私の人生の中でも1、2を争う威力だったと思う。

東京を襲ったのは深夜だった。

チャーミーはジェット気流に乗ってものすごい勢いでやってきた。

私は22時頃寝てしまったのだが、0時頃ものすごい風の音で目を覚ました。

窓から見える木々はまるでゴムのようにしなり、波のように雨粒が窓を打つ。

でも私は完全に安心しきっていた。

なぜなら最強クラスの耐震構造を有するタワーマンションの中にいたからだ。

これより安全な場所があろうか。いやない。

その安心感から半笑いで大荒れの外を眺めながらウィスキーを舐めていた。

ほほほ、美しいね。

 

そんな余裕をかましていた時のことであった。

「ピンポンパンポーン、こちらは防災センターです」

は?なになになに?めちゃくちゃこわいんだけど。このタイミングで何ですか?

夜の12時半ですけど、そのチャイム鳴らしちゃいますか。

「こちらは防災センター、防災センターです。ただいま高層階のエレベーターが停止しております。ご迷惑をおかけしますが、非常階段をご利用ください、ピンポンパンポン」

うそやん。

台風と高層階エレベーターの停止は関係あんの?

それめちゃくちゃこわいやん。強風時は高層階のエレベーター使えないの?

やっぱりタワマンは低層階がいいね。

心なしか暴風雨の音が大きく聞こえる。

グララァガァ、グララァガァ。

なんか急に怖くなってきた。さすがに日本最強クラスの耐震構造を有するタワマンもチャーミーの強風には敵わないのか。

倒木のようにタワマンが折れる姿を想像する。

グララァガァ、グララァガァ。グララァガァ。

外を見るとさっきよりも

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

窓もガタガタ言い始めた。まさか窓割れるとかないよね。

今この状況で窓割れたら完全に僕終わるね。ウィスキーなんか飲んでる場合じゃない。

「ピンポンパンポーン、こちらは防災センターです」

だから深夜にいきなりそれやめろって、めちゃくちゃびっくりするやん。

こんどは低層階のエレベーターも停止したとか言うなよ。

 

「こちら防災センター、防災センターです。ただいま高層階のエレベーターが復旧いたしました」

なんやねん、台風と関係ないんかい。夜の緊急放送はもっと緊急なときに使ってほしいです。妙に恐怖心を煽りますね。

おや、川に入っちゃいけないったら。

オッベルと象 (画本宮澤賢治)

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