住みにくさが高じるとブログができる

この夏アルプスの山路を登りながらこう考えた。

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智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

夏目漱石の小説「草枕」の冒頭である。私がとても好きな件で本当に何十回も読み返している。(引用部は草枕より)

住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟ったとき、詩が生れて、画ができる。

この世の住みにくさが高じてこのブログができた。

そして、家賃の高いところに引っ越したくなった。

画はできなかったけど、詩はたくさんできた。ブログの記事の中にも珠玉のポエムを散りばめてある。

人の世を作ったのは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三件両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。

あれば人でなしの国に行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくいところをどれほどか、寛容て(くつろげて)、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。

ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が降る。

あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。

 

だれしもこの世が住みにくいと感じることはあるだろう。そこにブロガーという天職ができる。あらゆるブロガーは人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。

住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。

そして、ブログである。

もし何か生きづらさ、住みにくさ、この世に違和感を感じているならばそれを自分の言葉にしてみてはどうだろう。今なら世界中の人々に一瞬で届けられる。

もしかしたらその言葉がだれかを救うことができるかもしれない。余は自分の言葉や経験がだれか他の人のためになればよいと考えている。

今すぐ役立つ耳より情報でもいいし、投資情報でもいいし、ラグジュアリーカードでもブラジリアンワックス(参照:まだ東京で脱毛してるの? - 32歳の米国株投資日記)でもなんでもいいが、一つくらいだれかの役に立つだろう。

 

みんながそう思って一日一つ何かを発信すれば、住みにくきこの世が住みやすくなるのではないだろうか。長閑になるのではないだろうか。心豊かになるのではないか。

世に住むこと二十年にして、住むに甲斐ある世と知った。二十五年にして明暗は表裏のごとく、日のあたるところにはきっと影が差すと悟った。三十の今日はこう思うている。

中略

金は大事だ

金は確かに大事だ。でも長閑に生きることの方がはるかに大事だ。

僕は人の世を長閑にし、人の心を豊かにする芸術の牛になろうと思った。

草枕

草枕