バガボンドという漫画を知っている人も多いことでしょう。「宮本武蔵」が原作の井上雄彦先生の漫画ですね。バガボンドは英語でvagabond、放浪者という意味があります。
よくバカボンドと言う人がいますが、「ガ」が正しい発音です。
フーテンの寅さんのフーテンがvagabondと訳されることもあるようです。天才バカボンもvagabondが語源という説もあります。
そんなバガボンドになりたいというか、そんな生活もしてみたいなという欲望が前からありました。気の向くまま、ふらふらと行きたいところに行ってみる。
The Vagabond Life.
いいですね。長い人生なんだからそういう時間があったっていいでしょう。サラリーマンをやっていると、あらゆる感覚が鈍ってくる気がします。
自分が若いころに持っていた夢、やってみたかったこと、わくわくする気持ち、そういう自分の心にしまってあるVivid Colorsがどんどん色あせている気がします。
ラルクかよ。
身体を動かした後の清々しさ、海を見たときの解放感、山の中にいる時に感じる自然との一体感。こうした内からほとばしる感覚や感情が鈍ってきているのです。
もちろん年を取っているからそうなっているかもしれないですが、やはり日々忙しすぎるのが大きいと思います。
何か火山灰のようなものがどんどん自分の中に降り積もっていって、若いころ輝いていたものが見えなくなってしまっている。
すぐに掘り出してあげればいいのだけど、それをする時間がない。
放っておくとそれは土のように固まってしまって、二度と取り出せなくなってしまう。どこにあったかも分からなくなってしまうのです。
たまに音楽とか聞いたり、漫画とか読み返したりしていると、ハッとすることがあります。ふとした瞬間にキラリと光るのです。
あぁなんか懐かしい感覚がするなと。この気持ち今でも自分の中にあったんだな、とほっとします。
漫画のバガボンドで思い出すのは巻末の言葉ですね。久々に読み返してみると、やはり以前いいなと思った箇所は同じです。いくつか引用します。
あれはいつだったか、初めて買った漫画本は、ドカベンの13巻だった。
いくつものお気に入りのシーンを探しては、夢中になって模写したものだった。
昨日本屋でその当時のままの装丁のドカベンが並んでいるのを見つけた。
1~3巻が欠けていたが4巻の初版は昭和48年(1973)だった。
思わず棚から出した28巻の表紙を見て、
不意に胸の奥が熱くなった。この絵も模写した。
その時の気持ちがありありと蘇った。あやうく涙が出そうになった。
自分の体がどう動いているか。
思い通りに動かせているか。
体との会話。
バスケットにしろ、ゴルフにしろ、そんなことに意識を集中する時間が私は好きだ。
どうやらそのようだ。
もっとそういう時間を作ろう。
言葉にした途端になにか違和感をおぼえる、そういうことがある。
人の感情とは、言葉で過不足なく表せるもののほうがじつは少ないのかもしれない。形のない感情を形のないままつたえられないものか。
そんなことを考えているうちに、言葉のやりとりを用いないキャラクターが生まれた。
日々の仕事について日記(のようなもの)をつけることにしました。
全てのことにそれをやる意味、理由があることがわかるし、意味のないことややりたくないことはますますやらないことになりそうです。
意図的に生きることができるような気がします。
現状では、最も我が身を助けてくれるものは睡眠という結論に達しました。
今読み返しても心に沁みるものばかりです。みなさんも年末の休みに自分の中にしまってあるものを久しぶりに取り出してみてはいかがでしょうか。
「これでいいのだ」
そう思える人生を歩んでいきたいものですね。