夢は、大人になったら都心のタワマンに住むことです。
今も色褪せない、将来の夢。
戸建てを夢見る長瀬くんには悪いけど、僕は都心のタワーマンションに憧れた。
幼いころはおやつ代を我慢して貯金に回したし、社会人になってもブラックサンダーで飢えを凌いで、海外で経験も積んだ。
時にはつらいこともあったけど、タワーマンションのことを思えば、耐えることは難しいことではなかった。
一歩ずつ自分の夢に近づいているという確実な手応えが僕を禿げましてくれる。
だから、転職する時は東京に職場がある会社を選んだ。会社は目的ではなく手段。タワーマンションに住むという夢を叶える手段だ。
そして、一昨年ようやくその夢を叶えることができた。
もちろん、タワマンに住むのは簡単ではない。乗り越えなければならない壁が幾重にも重なり僕の行く手を阻んだ。
家賃が高すぎて、審査が通らないこともあった。一人暮らしに適当な部屋を探すのも難しい。
だから、それなりに高い年収が見込め、社会的信用のある会社で働き、個人的信用を積み上げては、突撃する日々を送った。
そして、成功した。
これはもはや執念というか、夢を叶えるための飽くなき追求がもたらした勝利と言える。三番手の申し込みからの逆転勝利だった。
そして、今、引っ越しを考えている。
なぜか。そろそろ飽きてきたのと、何より無職が住むには家賃が高いからだ。当たり前だ。
しかし、無職にとってここはとても居心地がいい。
昼間からぶらぶらしてても他人の視線が気にならないし、設備も充実している。
ソファでコーヒーを飲みながら新聞を読み、コンシェルジュとの何気ない会話が日々の生活に彩りを添える。
高層階のラウンジから望む、夕日に染まる富士山。
生きる希望が湧いてくる。
でも時間だ。
そろそろここを離れなければならない。先日、不動産屋に行ってきた。
「すいません、無職でも家借りられますか?」
「収入証明は出せますか?」
「いや、無職なので収入はありません。出せてもゼーローですよ、ははは。昨年の源泉徴収で良ければ素晴らしいものが出せますよ」
「今そこで働いていないんですよね?それだと厳しいですね。。」
「貯金もそれなりにあるし、家賃前払いしてもいいですが、それでもだめですか」
「実は預貯金証明や家賃前払いで通る物件ってかなり少ないんですよ。。」
「つまり、僕が個人で家を借りるのは難しいということですね?」
「はい。。」
詰んどるやないか。
あかん、タワーマンションから出たくても、出られない。
マンション出たら、家なきおじさんになってまうわ。
「家なきおじさんの米国株投資日記」になっちゃうよ。
ということで無職は家を借りるのが難しくなるよ、というお話でした。
もちろん、無職でもURなら預貯金を示すか、家賃一年分前払いすれば収入に関する審査はクリアできます。
「ほら、カネならある」とやってみたい人にはおすすめです。
でも僕は何か別の方法を使って、家を借りる努力をしてみようと思います。
どうしたら無職でも家を借りられるか。
貯蓄が尽きるのが先か、引っ越しできるのが先か。
続く