最近、第二言語習得について学び始めました。学生の頃に勉強したことはありますが、改めて興味が出てきたのでいくつか本を買ってみました。
いきなり難しいのを読むと挫折するので、基本的なものから読み始めます。
今気になっているのは、外国語学習の適性についてです。
身の回りを見渡すと、明らかに語学が得意な人がいます。同じような勉強をしていて、同じような環境にいるはずなのに、レベルが全く違う。発音もめちゃくちゃきれい。
外国住んでたのかと聞くと、いやずっと日本にいたと言う。
こういう人はたまにいます。
だから、感覚的ではありますが、語学の修得に向いている人と向いていない人はいるんだろうな、という推測をしてきました。
本書の中では、外国語学習適性について言及されていて参考になりました。
この分野での研究の大きな争点は、知能テストで測るIQすなわち「一般的知能・知性」と「外国語学習適性」がどの程度同じものなのか、それとも異なるものなのか、ということでした。結論から言うと、かなり重なっているけれども全く同じではなくて少しずれる、それが研究者の間の理解です。
それではどんな能力があると外国語学習に成功する確率が高いのでしょうか。
以下の3つが優れていると、外国語学習に成功する可能性が高いということが言えるそうです。
- 言語分析能力(言語の文法や規則に関する敏感さ)
- 音声認識能力(単に聞き取るだけではなくて、聞いた音声を頭名の中で保持する能力も含む)
- 記憶力(丸暗記をする能力)
これはアメリカで行われた適性テストから導き出されました。
このテストをMLAT(Modern Language Aptitude Test)と言います。
1950年代にアメリカの国務省の職員の誰に外国語を勉強させるか、という問題に答えを出すために開発されたテストで、これで外国語の適性がある人を見つけていたらしいです。
外国語の適性研究の結果を簡単にまとめると、以下になります。
- IQと適性には重なりが大きいが全く同じではなく「言語学習」特有の適性がある
- 思春期を過ぎてから外国語学習に成功した人は、記憶力が非常に高く、記憶に頼る傾向がある
- 適性と学習法をマッチさせると効果がある
特に3つ目の適性ですが、これはかなり個人差があって、文法をきっちりやった方が修得が早いタイプやどんどん丸暗記させた方が修得が早いタイプや音声に強いタイプなどいろいろあるそうです。
だから、学習者がどのタイプに属するのか見極めることが大事です。
特に語学の先生は、この適性を見極めて対応していく必要があります。
その適正によって教え方を変えることを「適性処遇交互作用(Aptitude-Treatment Interaction=ATI)と言います。
これを個人レベルでも活用していけば、多少は語学学習に役にたつかもしれません。
ちなみにMLATでは、短期間(1学期、2学期間など)で早く上達するかどうかを予測するために作られたテストで長期間続ける場合には当てはまるかどうかはまだはっきりとした答えが出ていないようです。
外国語が超上級まで到達した学習者には、初期の段階では平凡な学習者だったケースも多いという研究報告もあるのです。うまくなる人が最初から習得が早いとは限りません。
今でも結論が出ていないかは調べていませんが、なかなか興味深いテーマではあります。長期になればなるほど、結局「継続できる力」とかになるんだろうとは思います。
いかがでしたか。
英語などの外国語を学習している人や興味がある人は、言語習得の理論を少し勉強してみると、日々の学習に役立つことがあるかもしれません。
今後も何か面白い発見があったら発信していこうと思います。
最近入手した本を紹介します。
外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム (サイエンス・アイ新書)
ここまで読みました。以下はこれから読もうとしている本です。
はじめての第二言語習得論講義: 英語学習への複眼的アプローチ
言語はどのように学ばれるか――外国語学習・教育に生かす第二言語習得論
Second Language Acquisition (Oxford Introduction to Language Study Series)
How Languages Are Learned (Oxford Handbooks for Language Teachers)
ご清聴ありがとうございました。