タイパを気にしすぎるのはタイパが悪い

みなさんはタイパという言葉をご存じでしょうか。タイムパフォーマンスの略で「タイパ」です。限られた時間をできる限り有効活用しようとする試みの中で使われます。

こんな記事を読みました。

「ドラマで好きな俳優が映っていない時は飛ばしちゃいます。重要じゃない所は10秒スキップを使います」《20代・女性》

「授業を2倍速にして見ます。空いた時間を課題に回しています。対面の授業が遅く感じます」《20代・男性》

「アニメの考察動画を見てそこでパッと100巻分見終わっちゃうっていうのはありますね」《20代・男性》

「時間がもったいないので、お風呂入りながら歯磨いてます。そういう意味ではタイパなのかな?」《20代・男性》

合コンもタイパが悪いということで、マッチングアプリやインスタなどのSNSを通じて出会いを求める人が増えているそうです。

メアドを何とか聞き出して、メールのやり取りをして、あのドキドキのメール受信中の甘酸っぱいあの思い出はなんだったんや。

メールを受信して、ドキドキして受信ボックス開けたらただの友達で、何やねんお前、こんな絶妙なタイミングでメール送ってくんなや。

こんな経験は、30代半ばの方なら誰しもお持ちのことでしょう。

時代はあっという間に変わるものですね。

あとは洋服を選ぶ時間がもったいないと思う人は洋服のサブスクを、料理する人がめんどくさいと思う人は、冷凍弁当のサブスクを選んでいるようです。

ナッシュは私も使っています。

その他には自宅に帰るのがもったいない、ということでホテルのサブスクを利用する人も増えているようです。ホテルのサブスクは興味あります。

ちなみに、私は会社にいる時間がもったいない、タイパが悪いと思っていましたが、サラリーパースンの皆様がせっかくタイパを追求して生まれた貴重な時間が会社に取り上げられていないかとても心配になりますね。

このように、人々は時間を効率的に使おうというタイパの呪いに取り憑かれており、時間に追われ、何ならどんどん不幸せになっているようにも見えます。

確かに時間効率を上げることは大事です。

日々の業務や作業に無駄なところがないか確認し、より短時間で効率よく済ませられた方が良いに決まっています。こうして生まれた時間を自分の好きなことに使うのはとても良いことです。

しかし、何でもかんでもタイパを追求してしまうと、常に急かされている感覚になったり、時間を有効活用できないと罪悪感を感じたりします。

常にこのような感覚だと、ちょっと生きづらくなってしまうのではないでしょうか。

だから、長い目で見ると、目先のタイパを気にしすぎるのは、タイパが悪いというお話です。

10年後振り返ってみた時に、このタイパを追求した10年間は何の記憶も思い出もなかった、、なんてことになるかもしれません。

そんな皆様にお勧めするのはこの本です。

本書の中で紹介されていた「美術館に行って絵画か彫刻を一つ選び、3時間じっと見る」というのをやってみてください。

タイパ勢には絶対できないやつです。

これをやっていると様々な雑念が一通り過ぎた後に、徐々に作品と一体化し、それまで気づかなかったディテールに気づくという経験をするそうです。

そういうゆっくりした時間を過ごすことで得られることもあることを知っておくべきですね。

そんなにタイパが好きならマカオのタイパ島にでも行ってきてください。

ホテルオークラマカオのプールでトロピカルジュースでも飲みながら寛いで「限りある時間の使い方」についてを考えてみてください。

最近ではどんどん生活のスピード感が上がってきているような気がしますが、そんな状況だからこそあえてゆっくりする時間を作るべきなのではないかと思いました。

何かやっている時は他のことは一切しない。

一点集中で没頭している時間が案外幸せだし、心が休まるものではないでしょうか。