北アルプスハイキングの感想文(七倉山荘→裏銀座→雲ノ平→鷲羽岳→伊藤新道→晴嵐荘→七倉山荘)

先日、北アルプスにハイキングに行ってきたので、感想文とメモを書いておきます。ご査収のほどよろしくお願いいたします。

コースはタイトルの通り、七倉山荘→裏銀座→雲ノ平→鷲羽岳→伊藤新道→晴嵐荘→七倉山荘です。

結果的にはこれを一泊二日で歩きました。

登山をする方ならわかると思いますが、これは相当な体力と経験が必要です。1日目で約30km、2日目で約40kmほど歩きましたが、私は特殊な訓練を積んでいるのでこれが可能です。

特筆すべきは、開通したばかりの伊藤新道です。詳細は後で書きますが、私は経験不足でビビりまくっていました。

また黒部の源流イワナを釣るためにテンカラ竿をザックに忍ばせての登山です。

これが憧れの初ハイキング&フィッシングです。

では詳細をご報告申し上げます。

東京を22時30頃にスタートし、長野県大町市にある七倉山荘を目指しました。

夜なので道は空いていて、4時間くらいで到着しました。そこで少し仮眠してから4時過ぎくらいにスタート。

七倉山荘から高瀬ダムへはタクシーがありますが、歩きでダムを目指しました。まだ周りも暗く登山者もいなかったので、とても怖かったです。誰もいないはずなのに誰か後ろからついてきてないか心配になりました。

歩いているうちにタクシーが通過、そのタクシーが戻って来る際に「お気をつけてー」と運転手。

ダムに着く頃には明るくなり始め、良い天気になりそうな気配です。

今回は裏銀座ルートだったので、北アルプス三大急登と呼ばれるブナ立尾根を超えて烏帽子小屋を目指します。ここで一気に標高2,500mくらいのところまでいきます。

ご覧の通り、天気は快晴で景色がとてもよかったです。

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烏帽子小屋を通過すると、標高2,800mの稜線を歩き、野口五郎岳を目指します。

私は久しぶりの登山だったので、高山病の症状が出ていました。

少し頭痛がしたり、めまいがしたりするのですが、久しぶりの登山で3000mまで行くとこの症状が出ることが多いです。

そして、野口五郎小屋に到着し、小休止します。

この夏は暑かったためか、ジュースの在庫は売り切れで、ミネラルウォーターのペットボトルと野菜ジュースと牛乳だけあるとのことでした。

ビールは売っていましたが、高山症状が出ていたのでここは我慢してミネラルウォーターだけ600円で購入しました。

そこから野口五郎岳を目指します。

標高2924mで、大町市の集落「野口」と大きな石が転がっている場所である「ゴーロ」の当て字で「野口五郎岳」になったそうな。ほんまかいな。

歌手の野口五郎はこの山に由来します。

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野口五郎岳を通過し、次は水晶小屋を目指します。

時間があれば水晶岳アタックもする予定でしたが、その余裕はなかったため、小屋でサイダー250mlを500円で購入し、その日の宿泊地である雲ノ平を目指します。

途中で雷鳥に出会いました。全く人を警戒しておらず、話しかけられました。鳴き声がかわいかったです。

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水晶小屋から雲ノ平までも地味に距離がありなかなか辿りつきません。途中の祖父岳(じいだけ)を乗り越えるのもまぁまぁ辛かったです。

祖父岳

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雲ノ平に到着したのは、16時頃になってしまいましたが、無事に到着して一安心です。

雲ノ平山荘でテント泊の手続き(一張2000円)をします。山荘はとてもおしゃれで素敵な感じで、いつかここに泊まってみたいと思いました。

素晴らしい景色を見ながら350mlのビールを800円で購入し、一気飲みします。インフレの波がここまで押し寄せていましたが、800円の価値はありました。

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山荘から少し離れたところにテント場があるので、そこまでまた歩いていきます。これも地味に辛いです。

ちなみにテント場の水が枯れかけていて二つ目の水場を設定したとのこと。全体的に水不足なようですね。

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遠くに見えるのが山荘です。

秘境です。
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テントを設営し終えたのは5時過ぎでしたが、それから天気が変わり、雨が降り始めてしまいました。

晴れてたらパートナーと宴の予定でしたが、お互いテントの中で大人しくしていました。

夜には雨が上がり、空には満天の星。流れ星を何個か見ることができ、億万長者になれますように、と願い事をしておきました。

夜から朝にかけては冷え込みました。雲ノ平の標高は約2500mで、正確な気温は分かりませんが、おそらく10度を少し切るくらいだったと思います。

モンベルの薄手のメリノウールを下に着込み、シュラフだけで最初は寝ていましたが、途中で寒くて目が覚めたので、上に薄手のダウンとシュラフカバーとしてBivvy Liteを使いました。

私はシングルウォールのツエルトのようなテントを使っているので結露がひどく、テントについている穴を開放していました。

こうすることで結露が少しマシになりますが、その分寒さを我慢する必要がありました。それでも上記装備でちょうど良い感じです。

翌朝は朝5時頃に起き、少し遅めの出発となりました。

黒部源流碑を経由し、三俣山荘を目指します。

この日も天気が快晴で、途中で槍ヶ岳がくっきりと見えました。

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高山植物も綺麗です。チングルマ?

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しばらくすると、黒部源流に到着しました。

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黒部源流といえば、最も標高が高いところにいるイワナで有名です。

時間に余裕があれば、源流イワナを釣ることを目標にしていましたが、今回はあいにく時間にゆとりがありませんでした。

さすがに上記のようなところにはイワナはいないだろうと思っていたのですが、後で調べてみると、ここからちょっと下ったところでイワナが釣れることがわかりました。

試しにテンカラをやっておくべきだったかな、、と後悔しましたが、後の祭り。また今度時間に余裕を持って釣りに来ようと思います。

黒部源流を通過するとまもなく三俣山荘に到着します。ここで水を補給できますが、いつもならザーザー水が出ている水場も今回はちょろちょろでした。

でも水は冷たくて最高です。

このナチュラルミネラルウォーターの美味しさを味わえるのも登山の醍醐味ですね。

三俣山荘では、朝ごはんとして「ジビエ丼」(1,600円)をいただきました。

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見た目は牛丼で、味もやっぱり牛丼みたいな感じで、美味しかったです。

この先の鷲羽岳アタックと伊藤新道に向けてエネルギーをたっぷり補充しておく必要があります。

ちなみに伊藤新道に行くには、三俣山荘で通行届を提出する必要があります。通行者の名前と連絡先、必要な装備(ヘルメット、渡渉困難時のビバークに必要な道具など)があることを確認されます。

また渡渉があるので、川の水量が極めて重要です。行く前に山荘に通行可能か必ず確認してから行ったほうが良いでしょう。後で詳細を書きますが、かなり厳しいルートでした。

その伊藤新道に行く前に鷲羽岳にいきました。

山の下にうっすら見える線が伊藤新道で、この頂上が鷲羽岳です。

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壮大な眺めです。
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鷲羽岳の影が見えますね。
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鷲羽池という不思議な美しい池がありますが、天気がいいと槍ヶ岳とセットで見えます。

一瞬見えたのですが、写真を撮る時は雲で隠れてしまいました。
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鷲羽岳を下る途中で、伊藤新道に向かいます。
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あまりにも過酷だったので、写真を撮る余裕がなかったのですが、唯一あるのがこの写真です。この下に見える沢までくだって、沢に沿って渡渉を繰り返す玄人向けルートです。
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興味がある方は、YouTubeで伊藤新道を検索してみてください。どんな感じかわかると思います。

三俣山荘側からだと、最初は山を少しずつ下っていく感じですが、沢に出ると渡渉を10回以上は繰り返すことになります。

私はHOKAのスピードゴート5(ゴアテックス)でソールはビブラムのメガグリップでしたが、渡渉時に滑ったりすることはありませんでした。

渡渉ポイントはオレンジの目印があったので、そこで渡渉を繰り返しながら下っていきます。一度もこの目印がないところを渡らなかったので、もし目印がなければ、岩場を行くか、山を登るかなので、目印を見失わないことが大切です。途中で何回か戻りました。

詳細はYouTubeの動画を見ていただきたいですが、崖のようなところを通過したり、吊り橋を渡ったり、高所恐怖症の私には辛いコースでした。

渡渉は最大で膝上くらいまで浸かりましたが、確かに少しでも増水したらかなり厳しいです。

私には格上のコースで、もうちょっと修行とリサーチをしてからにしておくべきだったと反省しました。

とはいえ、なんとか無事に怪我もトラブルもなくコースをクリア。ゴール地点の湯股山荘で無事に帰還したことを報告します。

その日は晴嵐荘でテント泊の予定でしたが、夜に天気が崩れる様子だったので、そのまま七倉山荘を目指して、林道を早歩きで進むことにしました。

途中で雨と雷に遭いましたが、無事に七倉山荘に到着し、着替えて松本のスーパー銭湯に直行。途中で仮眠を取って翌朝には無事に東京に戻ってきたのでした。

いかがでしたか。

登山の醍醐味は、日々の生活のありがたさや生への欲求を体感できることです。

もちろん自然の中のテント泊も良いですが、家に帰った後の布団は何倍も気持ちがいいです。また、エネルギーが枯渇しかかっている時の補給食や喉が渇いた時のミネラルウォーターは、下界の何よりも美味しいです。

時に感じる命の危険や恐怖も自分の生への欲求を思い出させてくれます。

「ちゃんと生きよう」という気になるのです。

ということで、たまにはちょっとハードな登山も生活に彩りを与えてくれるので良いなと思ったのでした。

今度は源流イワナを釣りに行きたいです。

源流テンカラ

源流テンカラ

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