テクノロジーの発展に伴い、身の回りものが電子化されています。本も例外ではありません。確かに電子書籍にはたくさんのメリットがありますが、紙の本にも多くの魅力があります。
その魅力の一つは匂いです。
私は本の匂いが好きで、特に新しい本の匂いは格別です。
とりあえず本を読む前に顔を埋めて匂いを嗅いでいます。
みなさんもそうですよね。
しかも本の種類によっても匂いは異なるので、本の匂いを嗅ぐたびに「あぁ君はそのタイプか」とか「おぉそっちのタイプね」とか「君は初めてのタイプだ、好きだ」などとやっています。
当然ながら、文庫、単行本、漫画、雑誌、洋書、中国の本、それぞれ独特の風味があり、その匂いが時に懐かしい日々を思い出させます。
特に中国の本の匂いは独特で、その匂いを嗅ぐだけで中国生活を思い出すようになりました。分かる人は分かると思います。
変ですか?
このように、紙の本の魅力はその匂いにあるのではないでしょうか。
電子書籍からは、この本の匂いがしてきません。無味無臭です。
匂わないですよね?
もし将来、電子書籍毎に適切な匂いを放出できる機能がついたら素晴らしいですが、おそらくこれは実現されないでしょう。
本の主な役割は、主に書いてあることを読者に伝えることです。
しかし、本をモノとしてとらえ、その手触りや見た目や匂いに拘ることも読書の楽しみの一つだと考えます。
コンテンツを楽しむ以外にも本を読む時に楽しめる要素はたくさんあるはずです。
例えば、表紙の見た目、カバーの手触り、次のページへ行くときのプップップという指先の感覚と音、紙の動きから生み出されるかすかな風、そこからふわっと立ち昇る本の香り。
これらすべてが紙の本の魅力です。
そしてその魅力が私の心をつかんで離しません。
だから私にとって書店は、体験型美術館みたいなものなのです。さすがに顔を本に埋めたりはしませんが。
先に述べた紙の本の魅力が相乗効果を生み出して、脳に何らかの良い作用を及ぼしている気がします。
紙の本の方が脳に多くの刺激が入り、想像力をより掻き立てられるとか。
電子書籍より多くの感覚を刺激することは間違いないでしょう。
紙の本はメルカリで売れるから魅力的なのではなく、その見た目や肌触り、紙が織りなす風と匂いにあるのです。
ご清聴ありがとうございました。