働く男

働きたくない。

星野源の「働く男」という本を読みました。星野源とは「逃げる恥だが役に立つ」通称「逃げ恥」の津崎平匡役です。前にも書いた通り、逃げ恥でムズキュンしているうちに、この星野源という人に興味を持つようになりました。別に好きとかじゃないですよ、なんかどんな人なのか興味が出てきたのです。そんな中たまたま書店で「働く男」という本を見つけたので、読んでみることにしました。

働く男 (文春文庫)

働く男 (文春文庫)

 

 冒頭は次の一節で始まります。

働きたくない。
どこか南の島で少し辛い料理を食べながら、少し苦いドリンクを飲み、ココナッツオイルの甘い匂いがする海岸で横になり、ビーチパラソルの下で、心地よい風の中、何も考えないで一日を終えたい。

実は星野さんは30代という若さにも関わらずクモ膜下出血で倒れています。この「働く男」は倒れる前に発売されたもので、初版の帯には次のように書かれていたそうです。

どれだけ忙しくても働いていたい。
ハードすぎて過労死しようが、僕には関係ありません。

ところが実際関係あったわけです。倒れた後には逆に「働きたくない男」に変わります。過酷な入院生活を経て、仕事が中心の生活から、己が中心の生活へ変わったとのことです。この本に書かれているのは、倒れる前の自分の殻を破る前の状態で、これを見て何を感じるか、どのような変化があったのか、興味がある方はぜひ読んでみてください。

星野さんは、いろんなことに興味を持ち、音楽家、俳優、文筆家とさまざまな顔を持つ方です。この本からも非常に多くの映画や音楽や本に触れてきたんだなということが分かります。印象深かったのは、ピース又吉直樹さんとの対談で、職業の枠ついて話していた部分です。最近の世の中は、何かと肩書をつけたがり、職業を限定したがります。しかし、この二人が言っているのは、別に何をやったっていい。好きなことをやってそれが職業になるのがいい、と言っています。

だから別にサラリーマンだろうが無職だろうが、自分の好きなことをやってみたらいいんだと思います。小説を書いてみたいなら書いてみればいい、音楽家になりたいのだったら音楽を作ってみればいい、芸人になりたいならやってみればいい、ダンサーになりたければ踊ってみればいい。そこから自分のオリジナルが生まれ、価値が生まれ、どこかでだれかが評価してくれるかもしれない。

そういったものがいつしか自分の資産となって、自分を支えてくれるときがくるかもしれません。

才能があるからやるのではなく、
才能がないからやる、という選択肢があってもいいじゃないか。
そう思います。
いつか、才能のないものが、面白いものを創り出せたら、
そうなったら、才能のない、俺の勝ちだ。

とてもいい言葉だと思いました。

働く男 (文春文庫)

働く男 (文春文庫)