今晩飲まなければ死なないというのか。そんなことはない。人間はいずれ死ぬ。それを直視しないで、一晩、酒を抜く、なんて小細工で誤魔化すのは人として許せない、卑怯な態度だ。
冒頭はしらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎単行本)からの引用である。
大酒のみでなくても楽しく読めるのでおすすめだ。
私はサラリーマンだった時、飲みにいくのは嫌いだった。
それはアルコールが嫌いだったのではなく、会社のおじさんと夜遅くまで一緒にいることが嫌いだったからだ。
その機会がなくなってから、アルコールは嫌いではないと気づいた。
鳴らない音楽が心に沁み、踊りたくなってくる。蹴とばしたくなってくる。抱きつきたくなってくる。そして実際に躍る。蹴とばす。そしてその間も、いまのこの楽しい感じ、が途切れてしまわないように、或いは、もっと楽しくなるように酒を飲み続ける。
ビール、ウィスキー、ワイン。
一通り、それなりのこだわりを持って飲む。
ビールは薄味バドワイザー。
ウィスキーも薄味カティサーク。
ワインはクラウディベイのソーヴィニヨンブラン。
クリアな世界に宿る、香りと味わい。
今日も味覚は大丈夫。
そんなことをほぼ毎日やっていたら、それが手放せなくなっていた。
あかんではないか。
私はこれまでもほぼ毎日飲酒、禁酒、ほぼ毎日飲酒、禁酒を繰り返してきた実績がある。
どうすれば禁酒できるのか、だいたい自分で分かっているつもりだ。
しかし、継続飲酒中の習慣とは恐ろしいものだ。
今日は休肝日だ、という今朝の宣言は、その晩にはもろくも崩れ落ちる。
気づいた頃には既にワイングラスを回し、その芳醇な香りを楽しんでいた。
このように、毎日同じ時間に飲酒をするとそれが習慣化して、自分が欲していないのにただ身体が勝手に反応してしまうことがある。
習慣の力だ。
だから、この習慣化を逆手に取って、悪習慣を制圧するのが今回紹介する私の方法だ。
個人差もあるし程度によって違うので、本当にお酒をやめたい方は専門家のアドバイスに従ってほしい。
やり方
- アルコール摂取量を徐々に減らす(3日)
- ノンアルコール飲料飲む(5日)
- 炭酸水に切り替える(ほぼ成功)
- 水を飲む(成功)
アルコールは依存性があるので、いきなりやめるとそれをどうしても欲する傾向があるようだ。
だから、いきなり止めずに徐々にアルコールを減らす。
例えば、ワインをたくさん飲んでしまう人なら、ハーフボトルを一本だけ買うようにするとか250mlのやつだけにする。
もちろん1ダースとか買わない。一本だけだ。
こうするだけで一回に飲む量を減らせる可能性が高まる。
ビールをたくさん飲んでしまう人は、缶ビール一本だけにしてみる。
だめなら二本までにして、ほろよいへテーパリングするとか。
その段階をキープできるようになったら、最初の一杯はノンアルコールビールやノンアルコールハイボールにしてみよう。
うまく行けばそれだけで耐えきれる可能性ある。
それでも飲みたかったらそこから飲んでも良い。無理はしない。
しかし、最初にノンアルコール入れとくと、その後そこまで飲みたくならないはずだ。
そしてあることに気づく。
実は毎日欲しがっていたのは、アルコールではなかったのではないか。
「プシュッ」という音と「シュワシュワシュワー」という炭酸だったのではないか。
というか、この2つがあれば、身体は今日もアルコールを摂取できたと勘違いして落ち着くのではないか。
という仮説を立てた。
そこまでくるとノンアルだけでほぼ乗り切れるようになっているはずだ。
しかし、いつまでもノンアルに頼っているわけにもいかないので、フレーバー付きの炭酸水へ切り替える。
ここでほぼ成功と言ってよいが、最後に水までたどり着けて成功とみなす。
このように普段飲んでいるものをアルコール度数に低いものに乗り換え、かつキャパシティをノンアル飲料で満たすことをおすすめする。
そうすることで水分を摂取する欲求を減退させる=アルコールを飲みたくなくなる。
さらに、私は禁酒時の健康面にも焦点を当てた。
例えば、アルコールを取らずに睡眠をとると明らかに心拍数が下がる。やめた数日は日を追うごとに心拍が安定し、低く推移する。
もちろん、ゼロを目指すわけにはいかないが、これを毎日確認すると、明日はもっと低くなるかな、とか、これをもっとキープしたいな、やっぱりお酒はよくないんだな、マインドが芽生えてくる。
このマインドも活かしてみよう。
いかがだっただろうか。
毎日なんとなく飲んでいるビールは、実はアルコール中毒のプロローグかもしれない。
危ないなと思ったら、自分の意思でそれを止める術を身に着けよう。
その方がもっと楽しい未来が待っているはずだ。