脳と人工知能をつないだらどうなるのか

今回紹介するご本は脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線です。この本を読めば、今世界で進められている脳と人工知能の融合研究の最先端の様子が予備知識なしでわかります。

この分野に詳しい人なら、そんなのもう知っているよ、と思うような内容ばかりかもしれません。

しかし、私は完全な素人なのでワクワクしながら読み進めることができました。

脳と人工知能をつないで「脳を改造」したら、何が起こるのか?
・会話せずに相手に思っていることを伝えられる
・念じるだけでインターネット検索ができる
・睡眠を司る脳領域を刺激して、一瞬で深い眠りについたり目覚めたりできる
・食欲を司る脳領域を刺激して、苦労せずにダイエットできる
・脳の健康状態をAIがチェックして、うつになる前にメンテナンスしてくれる
・紫外線や赤外線が「見える」ようになる
・アインシュタインなど過去の偉人の“脳”を借りられる
・コンピュータ上に自分の脳を再現できる

イントロには20XX年の一日がシミュレーションされていて驚きました。

さっくりいうとこんな感じです。

人工知能が「睡眠や覚醒を司る脳領域」を刺激して一瞬で気持ちよく目覚め、脳状態のチェックとメンテナンスからスタート。日々の疲れがたまっていてうつ病になるリスクを感知したので、そうならないように脳を適切に刺激し脳を健康な状態に保ちます。食事は一日に必要な栄養が詰まったサプリ一粒ですが、味覚を司る脳の領域を刺激することでごちそうを食べているような気分を味わえます。仕事は現実と見分けがつかない仮想空間で行い、人工知能が「やる気を司る脳領域」を刺激して一瞬で仕事を終わらせ、仕事は午前中で終了。午後は自分の時間で、人工知能の力を借りて本一冊分の文章を書きあげます。気分転換で散歩をしたら、道で倒れている人を発見、救出のため救命救急医の知識にアクセスし、その人を救うことができました。夜は仮想空間を通じて家族や親せきと共に食事を楽しみ、就寝時間になったら「睡眠や覚醒を司る脳領域」を刺激して、一瞬で深い眠りへ。。

どう思いましたか。

もちろん未来の話なので実現できるかはわかりませんが、このようなことが将来起こりうるようです。まるで映画のマトリックスやアバターの世界ですね。

そして本書でも紹介されていますが、イーロンマスクが設立したNeuralinkという会社はまさにそのようなことを実現させようとしています。

その目的は「コンピューターを通じて脳と人工知能を接続する」ことですが、圧倒的な資金力を武器に最先端の研究をしています。

実際にサルに電極を指して実験をしており、将来的には人間でも同様の実験を行う計画はあるそうです。

脳と人工知能をつなげる方法は、直接脳につなげる「侵襲型」と直接接続しない「非侵襲型」という2種類があって、Neuralinkは「侵襲型」となります。

Neuralinkは、ロボットを使って人工知能を埋め込むらしいのですが、こうなると本当にSFの世界のようです。ちなみに「非侵襲型」ではkernelというベンチャー企業が有名だそうです。

イーロンマスクなら驚くべきことをまたやってくれそうですね。将来、NeuralinkがVTIのトップ10とかに入る日が来るのだろうか。。。

このように、本書を通じて現時点での最先端の脳と人工知能の研究が一望できて大変に面白かったです。

興味がある方はぜひ読んでみてください。