退職金とiDeCo(イデコ)を受け取る際に重要な退職所得19年ルールについて

退職金とiDeCoを受け取る際には退職所得控除が使えるのでお得になりますが、多くの人は時期が重なるので退職金を受け取る際にそのほとんどを使い切ってしまいます。しかし、若いうちに退職金を受け取っておけばその限りではないかもしれない、というお話です。

日経新聞のこの記事を読みました。大事なことがいくつか書いてあったので引用しておきます。

  • 退職金とイデコを同時に一時金で受け取る場合「退職所得控除の年数は会社の勤続期間とイデコの加入期間の長い方を使う」
  • 「退職金を受け取った年を含めて20年以内にイデコを受け取るなら、イデコの退職所得控除は会社の勤続期間との重複分が差し引かれる」
  • 「イデコの受給年を含めて5年を過ぎた後に退職金を受給すれば、イデコと退職金の退職所得控除を別々に全額使える」

どうせまたいろいろ変わるので今の状況を注視しても仕方ないのですが、ベースを理解しておかないと、何が変わって何が得になったか、損になったかがわかりません。

みなさんの多くはiDeCoで投資していると思いますが、受取の際に大事になってくるのが退職所得控除です。

勤続年数に応じて退職所得控除が以下のように決まっています。

  • 勤続年数20年まで:40万円/月
  • 勤続年数21年以降:70万円/月

勤続年数が30年なら1500万円が退職所得控除となり、この金額までは税金がかかりません。これを超えた分は半分の金額に課税されます。

iDeCoの出口戦略でこのルールはとても大事なのでこれまでもいくつか記事を書きました。

iDeCoの受け取り時には、多くの人は退職金とiDeCoをほぼ同時期に受け取ると思います。だから退職金だけでほぼ退職所得控除を使い切ってしまい、iDeCoを受け取る際は半額が課税されてしまいます。

これはかなりふざけた制度だと思っていました。

どうすればお得になるかというと、退職金をさっさと受け取って、それから20年後にiDeCoを受け取るか、退職金とiDeCo受取時期を調整すれば、退職所得控除を有効に使えるようです。

それが上述にも挙げたこのルールです。

  • 退職金とイデコを同時に一時金で受け取る場合「退職所得控除の年数は会社の勤続期間とイデコの加入期間の長い方を使う」
  • 「退職金を受け取った年を含めて20年以内にイデコを受け取るなら、イデコの退職所得控除は会社の勤続期間との重複分が差し引かれる」
  • 「イデコの受給年を含めて5年を過ぎた後に退職金を受給すれば、イデコと退職金の退職所得控除を別々に全額使える」

私はずっと気になっていました。

サラリーマンをやめたときに退職所得控除を使って退職金を非課税で受け取っています。この分はiDeCoを受け取るときにどうなるのか。

差し引かれるのか、差し引かれないのか。それが問題だ。

日経新聞の記事によれば、退職から20年以内にiDeCoを受け取るとiDeCoの退職所得控除は会社の勤続期間との重複分が差し引かれる、と書いてあります。

ということは、20年が経過すれば重複分は差し引かれない=iDeCoの退職所得控除はフル活用できる、という理解でよいのでしょうか。

気になったので調べました。

どうやら退職所得19年ルールなるものがあるそうです。

55歳になる年以前に早期・希望退職に応募、又は転籍により通常の退職金を受け取った人、具体的には以下の条件を満たす人はルールが変更される前の2022年3月までに確定拠出年金を一時金で受け取ることも検討した方がよい。「19年内」に変更になっても早期退職の20年後(2007年退職なら2027年)まで一時金の受け取りを待つことで、退職所得控除対象期間を重複利用可能だが、待っている間に課税ルールの変更もありうる。

・2022年3月時点で確定拠出年金の老齢給付金の受給権が有り、老齢給付金は未請求

・2007年以前に早期退職し通常の退職金を受け取った

・早期退職前、既に確定拠出年金に加入

この記事は、私が調べた中で最も私の疑問に答えてくれるものでした。

このルールなら私は退職所得控除の重複利用が可能になります。

ということで、早く退職金をゲットし、確定拠出年金の受け取りを遅らせることで退職所得控除の重複利用が可能になるかもしれない、というお話でした。

また変わるとは思いますが知っておいて損はありません。ご参考まで。