積立投資と一括投資はどちらがいいのか

手元にあるまとまったお金を一括で株に投資した方が良いのか、それとも毎月決まった額を買っていく積立投資の方が良いのか。当然のことながら、それは投資対象と値動きによります。

日経新聞のこの記事を読みました。

この記事の趣旨としては、一括投資と積立投資を併用するのがいいんじゃないのですか、と言うものですが、積立投資と一括投資の運用結果について興味深いデータがあったので引用します。

仮に日本株が過去最高値だった1989年末から2022年10月まで、代表的な全世界株指数であるMSCI ACWI(日本含む、円ベース、配当込み)の連動投信に月3万円投資できていたら、資産は元本1185万円の5倍の約5900万円になっていた。

しかし過去の全世界株のように上昇基調が続いた資産なら、最初の時点での一括投資が有利だった。例えば月3万円の積み立ての元本1185万円を89年末時点で全世界株投信に一括投資できていた場合、資産は約1億930万円になっていた。

50歳で始める積み立て投資 「一括」併用で資産上積みも: 日本経済新聞

これは日本株が最高値を記録した1989年末から投資した場合という極端な例ですがとても参考になります。

全世界株の場合、元本1,185万円が積立投資だと約5,900万円ですが、一括投資だと約1億930万円です。

一方、日本株の場合、元本1,185万円が積立投資だと約2,800万円に対し、一括投資だと約1,200万円ちょっとです。

つまり、30年ほど投資をしたにもかかわらず、ほんの少ししか資産が増えていないのです。

日本株弱すぎやろ、というツッコミは置いといて。

しかもその大半は含み損を抱えていると言う始末です。まさにこれが失われた30年と呼ばれる所以ですね。

私が投資しているVTIの値動きを見てみましょう。

このチャートをみると、一括投資しておいた方が儲かったように見えますが、2022年末の最高値で一括投資しちゃった人はかなり精神的に辛い日々を過ごされているはずです。

私も経験があるのでその気持ちはよくわかります。

そうなると投資を続ける気力がどんどんなくなってしまいます。これが問題なのです。

今は株が下落していますが、5年後くらいに振り返ればきっとリーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)の時のように株価は復活しているはずです。(そう期待しているだけだけど)

だから、その時までちゃんと株を保有し続けられるかがとても大事なのですが(そんな保証はどこにもないのだけど)、一括投資だとその難易度がめちゃくちゃ高くなるというわけです。

その結果として、投資を断念してしまい、その後株が上昇してさらに悔しい思いをします。皆さんもそんな経験がおありなのではないでしょうか。

ですから、株式投資を継続するために、精神的な安らぎをもたらすのが積立投資のメリットです。

積立投資なら株価が下がっても安値で多くの株が買えるという安心感がありますし、手元に余剰資金が残っていればもし株がさらに下がっても追加投資できる、と言うポジティブな感情になります。

この状態の方が株式投資を続けやすいのは言うまでもありません。

このように、株価が右肩上がりで上昇するケースでは一括投資の方が有利ですが、万が一高値付近で購入してしまうと長期間含み損を抱えてしまうリスクがあります。

また、一括投資した後のソワソワ感が半端ではありません。多くの人はこれに耐えられないでしょう。

さらに、日本株のように長期的に株価が低迷するケースもゼロではありません。その際には積立投資の方が一括投資よりもリターンが良くなる可能性があります。

それらを天秤にかけて自分に合った投資方法を検討してみるのが良いと思います。

私は米国株の右肩上がりの上昇を信じているので常に一括投資推しです。

その勢いでNISAも2020年以降は一括投機していますが、ご覧の通りこれはちょっと毛色が違うので明暗が分かれています。

この結果がわかるのは数年後なので、その時にまた答え合わせをしてみましょう。

当たりますように。