第39回サロマ湖100kmウルトラマラソンを走ってきた感想文

2024年6月30日に開催された第39回サロマ湖100kmウルトラマラソンに参加してきたのでレポートを配信させていただきます。ご確認よろしくお願い申し上げます。

6月30日、北海道でサロマ湖100kmウルトラマラソンが開催されました。北見市の最高気温は32.6℃まで上がり、3026人の出走者のうち完走したのは1780人。完走率は58.8%でした。男子は山口純平選手(27歳)が6時間10分4秒で、女子は太田美紀子選手(49歳)が7時間45分12秒でいずれも昨年に続いて2連覇を果たしました。

名前の通りサロマ湖の周りを走る100kmのウルトラマラソンですが、ウルトラマラソン界隈では最も名前が知られているレースと言っても良いかもしれません。

私の趣味の一つは超長距離走で、100km以上のロードや山道を歩いたり、走ったりするレースにたまに出場します。

なぜやるのか、というと「自由な感覚」と「生への欲求」を体感できるからです。

もちろんこのレースは死ぬほど辛くて、走る度にもうやめようと思います。

しかし、自分の身体ひとつだけで(もちろん色んなサポートはあるけれど)こんな長い距離を移動できるなんてなんか楽しい!という「自由な感覚」が好きなのです。

また、この競技は自分の意思で死へと向かう試みですが、その過程で生まれる「生への欲望」を体感し「自分の身体は生きたいんだな。よし、ちゃんと生きよう」という思いにさせてくれます。

そして、普段の生活に戻った時に「今のこの生活はなんて快適なんだろう」と幸福度がアップします(脳内の快楽物質によるのかもしれない)。

わかりますか?この感覚。

いずれせよ、以上の理由で、すごく辛いのですが、年に数回は服用しています。

では今回の旅程です。

東京から飛行機で最寄りの女満別(めまんべつ)空港に移動します。

移動時間は約2時間(行きが1時間45分で帰りは1時間55分)です。

航空券は往復で41,500円でした。

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そして、女満別空港から北見駅行きのバスに乗って、北見駅周辺のホテルに向かいます。空港から北見駅へは50分くらいでした。
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夜の7時40分くらいでしたが、まだ明るいんですね。8時くらいまで明るかった気がします。

今回宿泊するホテルはHOTELルートインでした。ホテルの宿泊感想文はまた別の記事に書きます。
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ちなみに私は車を運転するのが苦手なので、レンタカーを使わずにレースに出場しました。

その場合はサロマ湖ウルトラマラソンのオフィシャルツアーを活用します。

コースがたくさんあるのですが、その中の現地集合コースを利用しました。

旅程はこんな感じです。

1日目:各自宿泊施設へ

2日目:ホテル発専用バスにて100kmまたは50kmスタート地点ヘ(1:00~)
レース終了後、専用バスにてフィニッシュ会場から各宿舎へ送迎(14:00~19:00発)

食事なしの最も安いコースで22,000円です。

さらにシングル利用を選ぶとさらに2,500円かかるということで総額24,500円でした。

このレースの難しさは移動にもあります。

ホテルからスタート会場(湧別総合体育館)までのアクセスとゴール会場(北見市常呂町スポーツセンター)からホテル(北見駅)までのアクセスは結構大変です。

このツアーを使えば、ホテルからスタート、ゴールから北見駅までの送迎があるので便利です。

少しお高い気もしますが、車を使いたくない人にとっては楽なので毎回これを使っています。

今回の出発時間は2時30分でした。

私は夜型の生活をしているので、早い時間では眠れず、結局一睡もできませんでした。ウルトラマラソンではよくある話です。

北見駅からスタート地点の湧別総合体育館までは1時間20分ほどです。

途中うとうとしながらもサロマ湖の朝焼けの景色は素晴らしく、車窓から写真を撮りました。

これは3時20分くらいに撮った写真ですが、もう明るくなってきています。f:id:wakaiojisan:20240701120033j:image
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無事にスタート地点に3時40分頃到着しました。もう明るいですね。

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メイン会場まで歩いて移動します。テント張ってる人たちもいました。

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荷物預けを行うエリアでは、アミノバイタルを配布していたり、ランニングチームの集まりがあったりして賑わっています。

私は当然一人です。
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この室内運動場みたいな中で休憩ができるので、ずっとこの中でじっとしていました。
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スタート前の様子
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 オフィシャルサイトからの引用して、簡単にコースを説明しておきます。

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基本的にはサロマ湖が左手に見えるコースですが、終盤の80kmからワッカと言うエリアに入り、ここでオホーツク海の絶景が見られます。

途中折り返しもあって先頭選手を見ることもできますが、びっくりするくらい速いです。

ちなみに、世界記録(6時間5分35秒)を狙っていた日本記録(6時間6分8秒)保持者の山口選手は6時間10分でゴールしていました。(3分42秒/km)

私の目標タイムは、帰りの飛行機に間に合うタイムです。ずばり10時間30分以内です。

翌日の飛行機が全然取れず、当日の飛行機で帰る背水の陣戦略を採用しました。一定の走力がないと乗れない便です。

スタート時間は5時ですが、ゴール会場を16時に出発するバスに乗らないと詰むので、着替えの時間を含めて10時間30分くらいで走らないと間に合いません。

言い訳っぽくなりますが、この数ヶ月間まともな練習ができていませんでした。

3月頃には痛風を発症し、その後の体調不良で肋骨を骨折しました。

病み上がりの体調でどこまで行けるのか。

無事にゴールできるのか。

レース当日は、とにかく暑くて辛かったです。

雲一つない天気で、天気予報では32度、スタート直前のアナウンスでは35度くらいまで上がる説も浮上しました。

良すぎる天気

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左手にサロマ湖が見えます。暑すぎました。

かけ水があり毎回水を浴びながら走ります。
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少しでも木陰があればだいぶ楽なんだけど
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サロマ湖
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今回の戦略はできるところまで5分30秒くらいまで行って、後半はその貯金をうまく使いながらソフトランディングする、でした。

しかし、半分くらいまでは良かったものの、練習不足も響き、半分以降はほとんど足が動かなくなってしまいました。

特にお尻のあたりがたまにピキッと激しく痛み、少し休んでは走り、走っては休み、お尻を揉みながら走ってみたりしました。

徐々にペースは遅れ、目標時間でのゴールが難しそうな雲行きです。

それでもなんとか60km過ぎの給水所に到着。

途中の給水所では椅子が置いてあるところもあり、そこに座って休むことにしました。

席にはすでに人がいて、そこにはめちゃくちゃ綺麗なお姉さんが座っていました。

この方は序盤に上位を走っていた選手です。折り返しの時にお見かけしたような気がします。

おそらく体調不良か故障でレースをリタイアする判断をしたのでしょう。

選手の収容車が来て、彼女を車に乗せます。

「お疲れ様でした」と係の人。

あれに乗れたらどんなに楽だろうか、と悪魔の声。

耳元で囁いてきます。

悪魔よ、現れたな。

もう十分走ったし、帰りの飛行機に間に合わなかったら嫌だし、そろそろリタイアした方がいいんじゃないか。

すると、係のお姉さんが尋ねてきました。

「お兄さんはまだ走りますよね?」

「はい、走ります!」

と言う誘導尋問に引っかかり、まだ走ると即答してしまいました。

なんなんだ、この強がりは。

あとから振り返ればあれは天使の声でした。

少なくともここではリタイアできなくなってしまったので、とりあえず先へ進むことにしました。

お姉さん、ありがとう。

ウルトラマラソンは不思議なもので、調子が良くなる時と悪くなる時が交互にやってきます。

補給した水分やエネルギーが効いてくるタイミングが後からやってくるのでしょう。

そして、その波が過ぎるとまた辛くなる。

それでも調子がいい時は1キロ6分を切るタイムで走れるペースに上がってきました。

ウルトラマラソンは復活のタイミングがあります。

このままいけば間に合うかもしれない。

ということで、浮き沈みを繰り返しながらも最後のワッカに入ります。

入り口のところが80km地点でここからさらに20kmも走るとなると絶望しますが、ここを行って帰ってくれば終わりだと思うと気持ちが楽になります。

というか、そういう風に無理やり考えることにしました。

最後のワッカは絶景スポットとしても知られています。タイミングが合えばお花も見られます。それはまるで天国のようです。

あまり写真を撮る余裕はなく、お花もほとんどありませんでしたが、オホーツク海の景色は壮観でした。

2017年の時は冷たい風が吹き、低体温症で動けなくなるランナー続出でしたが、今年は熱中症で動けなくなりそうでした。

景色は良いですが、ランナーにとっては地獄のような場所です。

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サロマ湖の湖口?を超えたところが折り返し地点になっています。
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ようやく折り返しに到着しましたが、あと10km以上あります。

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再びオホーツク海
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左がオホーツク海で右がサロマ湖
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ということで、だいぶペースは落ちましたが、安全走行を続けてなんとかゴールできました。

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いろいろありましたが、無事にゴールできて良かったです。

ゴール直後はやっぱりもうウルトラマラソンはいいかな、、、という思いで一杯でしたが、しばらくしたらまたレースにエントリーしちゃうのでしょう、きっと。

ウルトラマラソンはよく人生に喩えられます。

調子が良い時もあれば悪い時もある。序盤に飛ばし過ぎると、後半動けなくなる。

レース中の補給や励ましが身体を前に進める原動力となる。

己を知り、無茶をせず、謙虚に歩みを進める。

走っている中でいろいろなことを考えます。

コスパやタイパを追求する現代の生活では時に息苦しく感じることもある。

だからこそ、自分の身体一つで100kmを移動する、という最高にコスパもタイパも悪いことを敢えてするのです。

余計なことを考えず、ただ一つのゴールを目指す。

そんなシンプルな営みがウルトラマラソンランナーの心をつかんで離さないのかもしれません。

ということで、久しぶりのランニング日記でした。

また機会があれば書こうと思います。

最後に北見バスターミナルにあったアニメの紹介です。

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北見市が舞台のアニメ「道産子ギャルはなまらめんこい 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)」です。ぜひ読んでみてください。