財産債務調書制度の改正と国外財産調書について

税務当局が個人の海外資産や所得の把握に一段と力を入れているそうです。その一環として、財産債務調査制度を改正したようなのでメモしておきます。

私はこう見えて海外で働いていたことがあるので、その資産の一部は今でも海外の銀行にあります。

国外財産を保有している場合、注意すべきポイントがいくつかあるので整理しておきましょう。

日経新聞より重要なポイントを引用します。

同制度(財産債務調書のこと)では毎年12月末に所得2000万円超で国内外の資産が計3億円以上あるか、国外転出時に有価証券1億円以上を保有する場合に提出する義務がある。23年分から現在の対象者に加えて、総資産が10億円以上なら所得にかかわらず調書の提出を求める。所得要件をなくしたことで対象者は従来に比べ増える可能性が大きい。

下線部が23年分からの変更点です。

総資産10億円以上なので、私にはまだ関係ありません。

所得2000万円で国内外の資産が計3億円という要件もしばらく大丈夫だと思いますが、国外転出時に有価証券1億円以上というのが最も可能性のある要件です。

国外転出時に1億円と言えば、国外転出時課税制度も忘れてはいけません。

平成27年度税制改正により、国外転出時課税制度が創設され、平成27年7月1日以後に国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されることとなりました。

国外転出時課税制度|国税庁

資産1億円もっていたら海外転出時に問答無用で含み益に課税される恐ろしい制度です。

もちろん猶予制度はあるようですが、海外留学は資産1億円に到達する前にしようと思いました。

こんなことされたら、税金を払う現金がないから株を売却したイーロンマスクみたいになってしまいます。今後もこのルールの動向をウォッしていきます。

ところで、私に最もかかわりがありそうな国外財産調書についてもメモしておきましょう。

国外財産調書は5000万円超の海外資産がある人が対象で、20年末の提出件数は1万1331件と7年連続で増加した。毎年12月末時点の海外資産の種類、数量、金額などを報告する義務がある。調書に記載していない財産で申告漏れがあると、過少申告加算税は申告漏れの10%に5%が加わり計15%になる。また虚偽記載や正当な理由なく提出しなかった場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となる。

海外資産に税の網幅広く 高額保有、所得問わず報告: 日本経済新聞 より

私の海外資産が5000万円に到達するのは時間の問題だと信じているので要注意です。

さらに国外からの送金があると、金融機関は「国外送金等調書」を当局に提出する仕組みになっています。

よって、私の送金も「国外送金等調書」が当局に送られていることになります。

特にやましいことはないので心配することはありませんが、いろいろチェックされていたり、制度の変更等に気を付けたりしなければいけないのはちょっと面倒ですね。

まとめるとこうなります。

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海外資産に税の網幅広く 高額保有、所得問わず報告: 日本経済新聞 より転載

このように、資産をたくさん持っていたり、海外に資産があったりすると、知っておかなければならないルールがいくつかあります。

今後も情報収集を怠らないようにしていきたいと思います。