非居住者は下記のように規定されています。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
出典:No.2875 居住者と非居住者の区分|源泉所得税|国税庁
私は、日本の会社から海外出向という形で約5年海外で仕事をしておりますので非居住者と規定されることになります。それでは非居住者に対する課税のしくみはどうなのでしょうか。
我が国の所得税法では、個人の納税義務者を「居住者」と「非居住者」に、法人を「内国法人」と「外国法人」とに分けた上で、「非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)」に対する課税の範囲を「国内源泉所得に限る」こととされています。
出典:No.2872 非居住者等に対する課税のしくみ|源泉所得税|国税庁
つまり、非居住者であれば、海外の銀行で得たキャピタルゲインやインカムゲインに対して日本で課税されないということになると解釈できます。
私が以前住んでいた香港では、原則キャピタルゲインとインカムゲインに対して非課税です。私は日本の住民票を抜いているため、日本の証券会社でNISA口座を開設することができません。さらに海外在住者は、取引そのものができない、または制限されているのが現状です。投資をしようにもこれではどうしようもなかったので、私は香港でHSBC香港やBOOM証券で口座を開設し、米国株投資や中国の銀行で人民元預金を始ました。そのときは気づいていなかったのですが、実はまさにこの方法が海外投資の出口スキームになるというのです。黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (講談社+α文庫)の中で次のように紹介されています。
日本国内に居住していれば全世界の所得に対して申告・納税の義務が生じるが、非居住者であれば海外で得た所得を課税対象から外すことができる。これが海外投資の最もスマートな出口戦略である。
複利の威力の記事の中で、2500万円を年利5%で複利運用すると、30年後には1億800万円位になっていると書きました。この場合のキャピタルゲインは約8300万円です。もし日本の居住者であると、現行の税制では20%、つまり1660万円が税金で取れられてしまいます。もし非居住者であればこれが丸ごと自分のものになるということです。
自分が30年後にどこにいるか、生きているかも分かりませんが、このような税制の仕組みは知っておいて損はありません。