私は以前どんな仕事をしていたのか(第10回)

私が大学の序盤で最も熱中したのは中国語でした、いや、または中国語のクラスで出会った彼女と言った方が適切かもしれません。

あらすじ

2007年、就活を始めた牛は、唯一受験した新聞社の選考に落ちて挫折。その後海外で働くことを志し、海外営業職の内定を得た。入社後は中国語を使うことになるが、牛の中国語人生を変えた一人の女性との出会いを振り返る。

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私は後期の授業で、中国語の成績が優秀な学生が集まるインテンシブクラスの履修を許可されました。

そこでは同じ学部の中国語学習に意欲がある学生たちが集まるので、自ずと授業のレベルは高くなります。

先生は、全く日本語が話せない徐先生という新任の女の先生でした。

米倉涼子が日本で一番漂亮(美しい)な女優だと言っていたのが印象に残っています。

徐先生は英語ができましたが、授業は全て中国語で行われ、これが私の中国語コミュニケーション能力を高めてくれました。

私の友達が頻繁に授業を休んだため、その欠席理由を伝える役をよく頼まれました。

「隣の家が火事になってやばいから多分今日はいけない。」

ほんまかいな。

ちょ、これ中国語でどうやって言うんや。

火事って中国語でなんていうんだ火灾でいいのか、隣の家ってどうやっていうんだ、、というのを必死に調べ、徐先生に中国語で報告しました。

「おぉ、こわい、こわい」

と日本語で返してくれたので、おそらく通じていたのでしょう。

大変でしたが、これがとても良い訓練になりました。自分の中国語が中国人の先生に伝わることが確かめられると嬉しくなりました。

また、徐先生は歌がお上手で、中国語の歌もいくつか紹介してくれました。

そのうちの一つは「阿拉木汗」という曲です。

先生は歌がお上手というかガチ勢レベルで、この歌を熱唱してくれました。

歌い終えた後、スタンディングオベーションしたくなるレベルでした。

お聞きください。

めちゃくちゃ懐かしいですね。歌は当時の記憶を色々引っ張り出してくれます。

もう一つの思い出の曲は「老鼠爱大米」という曲で、当時めちゃくちゃ流行っていたようです。これも歌わされました。

歌手は違いますがお聞きください。

いやぁ、懐かしすぎますね。このように徐先生は色々な手法で中国語学習を楽しませてくれました。本当に感謝しています。

これがきっかけで私は中国語の歌にも興味を持つようになり、将来中国のKTVで花開きます。(詳細は中国飛翔編で)

その中国語クラスにいたメンバーは皆さん優秀でした。声調も外さないし、難しい発音も意識してこなしています。

みんなやるな。

私は悟空のようにワクワクしました。

このクラスは選抜されたクラスなので、みんな中国語できる勢だし、学習意欲も高いです。

私も欠席理由を先生に伝える係が奏功し、先生との信頼を築くことにも成功しました。先生とお話しする機会が増え、日本にいながら留学しているような環境を得ることができました。

さらに中国語に磨きをかけ、クラスでも上位をキープし続けましたが、それでもどうしても敵わない相手がいました。

それが栗山千秋似のTさんです。

厳密に言うと、栗山千明と川島海荷を足して2で割ったような感じで、とても可愛らしかったです。

私は他の学生が話す中国語を聞いている時に耳をダンボにして、声調が合っているか、発音が綺麗か、耳を澄ませて聞いていたのですが、彼女の発音は完璧でした。

彼女にずっと中国語を話していてほしいと思いました。

もちろん彼女はこれまで中国語を学習したことはなく、大学に入ってから始めたそうなのですが、短期間でそんなにうまくなるものか、と感心しました。

さらに彼女はとてもチャーミングです。

きっと中国語学習の話だったら合うだろうと、積極的にアプローチを始めました。

今だったらそんなことは絶対しませんが、クラスの飲み会を開催し、色々な人と交流する中で、彼女のメールアドレスをゲットするという快挙も成し遂げました。

中国語の勉強を一緒にしようという名目(なんでもいいから話したい)で大学の近くのベローチェに誘います。

彼女も中国語の勉強ということで、その話に乗ってくれましたが、結局ベローチェで中国語の勉強をしたことは一度もありませんでした。

Tさんは同じ学部の同じ学科だったので、中国語以外の授業の話、どこに住んでて、どんなバイトをしていて、最も肝心な彼氏がいるのか、、などなど、さまざまな情報を収集していきました。

思いのほか話は尽きず、ベローチェ定例会が開催されるようになり、それなりに彼女とも良好な関係を築けていたように思います。

「そういえばさ、Tさんはなんでそんなに中国語が好きになったの?」

「私、中国語の発音が好きなの。なんかすごくかわいくない?」

私の身体に稲妻が走りました。