「資本論」入門

マルクスの資本論を最近勉強しているのですが、いきなり原文に挑戦すると、かなりの確率で挫折します。私もそのうちの一人です。

資本論には、私たちが生きる資本主義がどんなルールで成り立っているかについて書いてあるらしいのですが、私には難易度が高すぎて自力で読み解くはできませんでした。そこでいくつか入門書を読んでみたので、良さそうなものを紹介してみたいと思います。

① 池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」 池上彰

本書によると、資本論は次のように要約できるとのことです。

人間の労働があらゆる富の源泉であり、資本家は、労働力を買い入れて労働者を働かせ、新たな価値が付加された商品を販売することによって利益を上げ、資本を拡大する。資本家の激しい競争により無秩序な生産は恐慌を引き起こし、労働者は生活が困窮する。労働者は大工場で働くことにより、他人との団結の仕方を学び、組織的な行動ができるようになり、やがて革命を起こして資本主義を転覆させる。

「高校からわかる」ということもあり、難解な資本論を丁寧に分かりやすく解説してくれている本だと思います。基礎から学びたいという人向けの書籍です。

② 超入門 資本論 小暮太一

本書によると資本論を理解するポイントは3つあるとのことです。この本はどちらかというと資本論をいかにビジネスに活用するかについて重点を置いて書いてあります。

ポイント①  価値と使用価値の意味を理解し、その区別をすること
ポイント②「剰余価値」の意味を理解し、それが生まれるプロセスを理解すること。
ポイント③「剰余価値」がやがて減っていくことを理解すること。

この三点を軸に、なぜ年収1000万円プレーヤーであっても幸せそうではないのか。そして、その辛い生活から抜け出すためにどうすれば良いかが書かれています。資本論を学ぼうと思ったときに一番最初に手に取った本ですが、とても勉強になりました。おすすめの一冊です。

③ いま生きる「資本論」 佐藤優

この本は前述の二冊と比べると難易度の高い本ですが、その分資本論について深く学べる内容になっていると思います。資本論だけでなく、今まで読み継がれている古典が、危機の時代における解決策を見出すのに役立つとのこと。なぜ今の世の中が生きづらいかとというと資本主義というシステムに根源的な問題があるからだと指摘します。

この本を読むと、あなたの人生がどうして苦しいのかについて、その原因の6割が解明されると思う。原因がわかれば、解決に向けた現実的戦略を構築することができる。

このように、資本論は150年前の書物ですが、その内容は今の時代にも十分通用するものだということです。大事なことは、自分が生きている社会を相対化すること。

資本論を読むことで自分の生きる社会のルールを理解し、そのシステムを客観視することができれば、今の世の中がもっと生きやすくなるのかもしれません。働くというのは労働力の商品化で、自分の労働力を売っているということです。もちろん労働力を売らないと生活できないという現実はあると思います。しかし、労働力を売らない時間をどう作り出すか、そしてどう使うかについて考えさせられました。