フルマラソンの自己ベストを更新できた

週末にフルマラソンに出て自己ベストを更新できました。できなかったことができるようになるのは何歳になってもうれしいものです。

新しいライフスタイルを始めていくつか目標を設定したのですが、そのうちの一つはマラソンを3時間以内で走ることです。これをサブスリーと呼びます。

サブスリーをするためには1㎞を平均4分15秒で走る必要があります。

100mを25~26秒位で走る続けるイメージです。よく分からない人は昼休みにそのペースで走ってみてごらんなさい。結構大変だから。

なぜサブスリーをしたいかというと、日々の移動時間を短縮したいからではありません。

ただ単にサブスリーの世界を体験してみたかったからです。

42.195㎞の距離を自分の脚で3時間以内で走るのはどんな気分なのか。

これはお金を払っても体験できないことです。時間をかけて身体と精神を鍛え、自分を律することができて始めてたどり着ける境地。だから奥深くて、面白い。

僕の周りにはマラソンが速い友人がたくさんいます。

結果を残す人はみな間違いなく自分の哲学を持っていて、自分を律することができる人です。だから、その人たちから学ぶことがたくさんあるし、尊敬しています。

会社のよくわからないおじさんの話を聞くより、足が速い人の話を聞いた方がはるかに自分のためになります。人生をよりよく生きるエッセンスが詰まっているのです。

百里を行く者は九十を半ばとす

42.195㎞を走る者は35㎞を半ばとす

深いね。

さて、前置きが長くなりましたが、今回のレースでグロスタイムで3分、ネットタイムで1分ほど速くなりました。タイムは3時間6分でした。

  • グロスタイム:号砲が鳴ってからゴールするまでの所要時間
  • ネットタイム:スタートラインからゴールラインまでの所要時間

正式な記録として認定されるのはグロスタイム、本人の実際のレースタイムを示すのがネットタイムという簡単な理解でいいでしょう。

なぜこの差が生まれるかというと、参加者の多いレースではたくさんの人が並ぶため、スタートラインを超えるまでに時間を要することがあるからです。

数万人が参加するレースでは、グロスとネットのタイム差が10分なんていうのもあります。

いまだにマラソンは人気があるようで、今回のレースも以前の会社の人がたくさん参加していたようでした。

知り合いがたくさんいたので「前より速くなったね、どうしたらそんなに速くなるの?」

と聞かれることがありますが、そんなの簡単です。

「会社を辞めたからです。だから会社を辞めれば速くなりますよ。できないでしょうけどね」

「。。。」

みんな両手両足に鎖つけて走っているんだから、そら走りにくいでしょう。その鎖外せばすぐに自己ベスト出るよ。だから鎖つけてても速い人を尊敬しています。

 

今回自己ベストを更新できたのは、ネガティブスプリットができたのが大きいです。

ネガティブスプリットとは、じわじわペースを上げていく走り方です。

例えば、フルマラソンなら前半後半のハーフのタイムを比較して、後半の方が速い走り方ができていればそれはネガティブスプリットです。

この走り方の方が、マラソンの好記録が狙いやすいようです。

例えば、この記事を書いている時点での世界記録は前半が61分6秒、後半が60分33秒ので2時間1分39秒です。

日本記録を更新した大迫選手の記録も前半が63分4秒、後半が62分46秒で2時間5分50秒です。

このようにいずれも後半の方が速いのです。

専門的なことはよく分かりませんが、感覚的に言うと力をうまく引き出しやすいというか最後の最後まで力を発揮しやすいといった感じでしょうか。

しかし、この走り方は簡単ではありません。

なぜなら序盤に力を温存しておくことが難しいからです。頭で分かっていてもいざ走り始めると全然違います。

「あれ、なんか調子いいな。今日はいけそうな気がする、ペースあげちゃおっかな、ほほほ」

だいたいマラソンを走っているとこういう瞬間が必ず訪れます。これを律する力が問われるのです。

「おいおい、調子にのるなよ。お前の実力をわきまえろ。黙ってそのままこのペースで走り続けろ、分かったな?」

という天使と悪魔的なやり取りを繰り返すのです。まぁどっちがどっちか分かりませんが。

マラソンに必要な資質。

Self-Discipline

自分で自分を律する力ですね。これは練習でもレースでもそうです。

俗に言うストイックとも違う。

調子に乗ってるときは戒める、調子が悪い時は励ます。

そんなコーチみたいのを自分の中に住まわせておくのです。

そのコーチとともに練習を積み、そして共にレースでベストを尽くす。

もはやそれは一種の創作活動みたいなもので、マラソンを走る人にとって一つ一つのレースが作品と言えるかもしれません。

だから、マラソンは奥深くて面白い。

僕の中に住んでるコーチと日々対話を交わす。

よりよい作品を求めて今日もランニングシューズの紐を結ぶ。

人生のネガティブスプリットを目指して淡々と自分のペースで走り続けます。