春の美術館巡りの感想文(「重要文化財の秘密」と「芳幾と芳年」)

マラソンで壊れた足を引きずりながら、久しぶりに美術館巡りをしてきたのでメモを書いておきます。

見てきたのは、東京国立近代美術館の「重要文化財の秘密」と三菱一号館美術館の「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」です。

皇居散歩がてら徒歩圏内で両方行けますので、春を感じながら美術館巡りを楽しむのはいかがでしょうか。

「重要文化財の秘密」については、重要文化財全68点のうち51点が展示されており、美術に詳しくない方でも「これは知ってる」と言う作品が多くあります。

例えば、高橋由一の「鮭」とか岸田劉生の「麗子微笑」は資料集でも見た方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に私が気に入っているのは、萬鉄五郎「裸体美人」です。上半身裸の女性が草の上で寝っ転がってこちらを見ている絵です。

萬鉄五郎(一八八五ー一九二七)一九一二年、東京美術学校の卒業制作として「裸体美人」を発表したとき、教官や同僚は皆呆気にとられた。腰巻一つ裸女が、草原に寝そべって”ヘイゲイしている図”と後に自らが回想しているような型破りの絵だったからである。

日本美術の歴史 補訂版 より

このように今では名作と言われている絵もそれが作られた当初は問題作として扱われていました。

それが時を経て、重要文化財として指定されていくわけですが、その基準も時代によって変わっているようで、それも見どころの一つとなっています。

日本の近代美術に詳しくない私のような初心者でも十分楽しめたのでおすすめです。

興味がある方は日本美術の入門書の近現代の章を読んでおくとより楽しめるかもしれません。

日本美術の歴史 補訂版

日本美術の歴史 補訂版

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もう一つは、三菱一号館美術館の「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」を見てきました。

こちらは元々見る予定ではなかったのですが、月曜で閉館かと思っていたらやっていたので、合わせて見てきました。

芳幾・芳年は、師匠が歌川国芳で最後の浮世絵師と呼ばれる世代です。国芳が得意だったのは、武者絵のようですが、弟子の二人もそれを継承し、さらに発展させていきます。

この展示会では、そのライバル同士とも言われた二人が師匠から何を吸収し、展開して行ったのか、二人の作風の違いなども楽しめます。

これがお土産で買った芳年のポストカードです。

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躍動感あるシーンですが、現代のアニメにも通じる美しさがありますね。

ところで、私は全然知らなかったのですが、今回の企画展が警視庁草紙と言う漫画とコラボしていて、少し漫画を読みましたが、とても面白そうでした。

当時の歴史背景などを漫画で知ることができるので合わせて読んでおくともっと楽しめると思います。

今回の芳幾と芳年の企画展で意外だったのは、若い女性が多くいらっしゃることでした。浮世絵とか武者絵とか若者にも人気があるのでしょうか。

私はほとんど予備知識なしで行ってしまったので一部よくわからないこともありましたが、皆さんかなり熱心に細かいところまで観察されている様子でした。

この世界も奥深そうです。

ちなみに三菱一号館美術館はメンテナンスのため、4月10日から長期休館になり、2024年秋頃リニューアルオープンされるそうです。

休館前に行っておきたいという方はお早めにどうぞ。