2019年第3回英検1級のライティングの得点内訳が出ていたので報告します。どんなエッセーを書けば、どのくらいの点が取れるのか、皆さまの参考になれば幸いです。そして語数をオーバーすると減点になるのかについても言及します。
この記事の構成は主に以下のようになっています。
- 2019年第3回英検1級ライティングの得点内訳
- 「内容」と「構成」での注意点
- 語数オーバーで減点はされないと思う
- AIによる採点の方が公平だ
結果からいきます。
私は英検1級のライティングはとても難しいと思っています。
なぜなら、英語だけの試験ではないと思うからです。英語以外に、背景知識、設問に的確に答える力、論理的思考などが求められます。
だから、日本人が日本語で書いても満点が取れない人は続出するし、それは英語を母語とする人にも当てはまるでしょう。
英語がうまいから、英語圏に長い期間住んでいたから満点が取れるというものではありません。この点に注意が必要です。
もちろん、英検1級ライティングで合格点を取るだけなら、そこまで難しくないとは思います。しかし、このテストで満点を取るためには、それ相応の学習と対策が求められます。
ちなみに私は4回連続で英検1級を受験していて、その得点推移は以下の通りです。
- 20→24→26→30(32点満点)
最初はものの見事に撃沈していますが、それから日々カイゼンを繰り返し、受ける度に自己ベストを微妙に更新しております。
英検1級ライティングの採点基準はよくわかりませんが、本稿では筆者の経験を通じて学んだことや今回の試験で注意したことについて書いていこうと思います。(個人の感想です)
まずは今回のトピックをおさらいしておきましょう。
TOPIC:Can renewable energy sources replace fossile fuels?
(再生可能エネルギーは化石燃料に取って代わりうるか?)
これに対し、私は以下のような答え方をしました。
今回の英検1級ライティングテーマは、再生可能エネルギーは石油燃料に取って代わるか。
— 牛 (@wakaiojisan1) January 26, 2020
私の答えはノー。
なぜなら再生可能エネルギーは、
1. 不安定
2. 大量の電力供給不可
3. コストが高い
賛成にしたくなるけど、こちらの方が書きやすい気がします。核融合ネタは温存しました。
まず注意しなければならないのは、設問を注意深く読んで、それに的確に答えることです。
今回の場合、再生可能エネルギーが石油燃料に取って代わりうるか。ということが焦点なので、その可能性について論じる必要があります。
だから、再生可能エネルギーのメリットだけを羅列するだけでは不十分です。
例えば「再生可能エネルギーは環境に良い」というのを理由に挙げたくなりますが、これが石油燃料にとって代わるかどうかはアナザーストーリーです。
なぜなら、環境に良いからと言って、石油燃料に代わる理由にならないからです。
そんな単純なら既に取ってかわられていてお題を立てるまでもないでしょう。
また「石油はいつかなくなるから」というのも再生可能エネルギーに取って代わられる理由になりません。なぜなら、原子力発電という他の選択肢もあるからです。
え、そこ?と思われるかもしれませんが、私は今回この点を厳しく鑑定し、エッセーを書くことにしました。
なぜここまで考えたかというと、今までのライティングで、内容の項目が毎回8点中6点だったからです。完璧に書けたつもりでいたにもかかわらず。。
「内容」の項目とは「求められている内容が含まれているか」が出題のねらいです。
したがって、ここで減点されていることは、求められている内容が完全に含まれていないことを意味します。(完璧に答えていたつもりが。。)
採点側とすれば、まぁ方向性としてはいいんだが、ちょっと詰めがあまいかな。という感じでしょうか。これだと6点ですね。はい。
これは現代文の記述式問題みたいなものです。
聞かれている問いに明確に答えるということが、英検1級のエッセーで高得点を取るためにも大事なのではないでしょうか。
それを踏まえると、再生可能エネルギーが石油燃料に取って代わることを論じるのは激ムズであり、私は完全に知識不足のへっぽこでした。
逆に石油燃料のメリットを再生エネルギーが補完することは無理なんじゃ、、とも思ったのです。
こっちのほうが簡単やないか。
ここまでたどり着くまでに約3分。
そこで石油燃料擁護派で論を進めるべく、筆を執った次第です。
そもそも、石油燃料がなぜこれまで使われてきたかというと、安定していて、エネルギー効率も良く、コストも安かったからです。
このため、再生可能エネルギーを使うためには、これを凌駕するメリットやどうしてもそれを使わないといけない理由がないとだめです。
残念ながらそれが分かりませんでした。というかあるのか、、
それでは具体例を見ていきましょう。
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うそです。
では詳細をみていきます。
できれば、英文を完全再現できたらいいのですが、書き写す余裕など全くないし、脳のスペックもへっぽこで、語彙や文法は7点なのでそこまで参考にならないと思います。
ですので、覚えている限り、ポイントだけ書いていきます。
まず出だしです。
Though opponents of fossil fuels may claim that renewable energy sources should be promoted, I do not believe that renewable energy sources can replace fossil fuels. This is because renewable energy sources are unstable, limited, and costly.
まぁシンプルにね。分かりやすく。
今回はopponents(反対論者)を使ってみたかったので使いました。あとThis is because以下で論点を簡単に列挙しています。for following three reasonsとかよりこっちの方が分かりやすいと思ったからです。好みの問題で点数に影響があるかは不明です。
First of all, renewable energy sources such as solar and wind power are unstable because they are overly dependent on weather conditions.
第二パラグラフの出だしがこうだったのは覚えています。正確にこの後を再現できないのですが、エネルギーの安定供給の必要性を説きました。
化石燃料による発電はある意味コントローラブルなんですよね。でも自然のエネルギーに発電をまかせるというのは不安定極まりない。
「風が思ったよりも吹かなかったんで、来週から計画停電でお願いします」
こんな世界はちょっと面白いけど、ヤバいでしょ。日照時間が少なくてエネルギー確保できないときは神頼みですか。
だから、エネルギー源に不安定な要素があるのは戴けません。
次です。
Another obstacle for renewable energy sources is the limited amount of power output. Compared with that of fossil fuels,,,
第三パラグラフの出だしはこんな感じにしました。
2つ目の理由を言う時は、Another ほにゃららにしようと思っていました。この方が文章にバリエーションが出るかな、と思って。
あとは分詞構文的な一文をねじ込むことを心に決めていました。
で、気になったのはobstacle(障害)のあとのforですね。あとで調べたらtoの方が普通っぽいです。
内容は、化石燃料と比べてエネルギー出力が圧倒的に少ないよね。ということを説きました。
そら、スマホ充電するとかならいいけど、飛行機は飛ばせられない、電車や車も動かせない。そんな微力で、化石燃料にとって代わるなんて、おこがましいです。恥を知りなさい。
さらに人口増えたらさらにエネルギー需要も増えるわけで、それを再生エネルギーでまかなうつもりですか。
風力発電の乱立に太陽光パネルに包まれた地球。
こうして石油燃料に匹敵するエネルギーを再生エネルギーで賄おうとすると、地球がぶっこわれるんじゃないかと思います。
Finally, renewable energy sources are costly.
再生可能エネルギーは高いです。なぜならエネルギー効率は高くないし、新たな設備が必要だし、さらなる研究開発費が今後も必要になるからです。
譲歩もここで入れたことを覚えています。
確かに石油燃料は有限なので、値上がりすることを恐れる人もいる。
しかし、テクノロジーの発展のおかげで、様々な場所から石油を抽出できるようになっており(シェールとか)、今後数十年~100年分の需要は確保できている。(もっと増えるかも)
石油や石炭はあとどれくらい採れるのでしょうか? | よくあるご質問 [関西電力]
これが逆に原油価格を押し下げている。
エネルギーが安価であることも重要な要素だ。
これでまとめです。
In conclusion, for above three reasons, I do not believe that renewable energy sources can replace fossil fuels. It is important to promote renewable energy sources for environmental protection, but using fossil fuels is a better option in terms of stability, higher output of energy, and the lower cost.
まぁこんな感じです。たいして難しい単語や文法を使っていませんが、質問に対する答えと論理構成には気を付けた。それがちゃんと反映された結果だと思います。
ところで、語数をオーバーすると減点されるのか。という点について言及します。
これは減点されないと思います。
私は最後に二行ほど余らせたと記憶しているので26行書いてしまいました。一行当たり10~12wordsと想定すると、260~300words強は書いてしまったものと思われます。
パラグラフの終わりなど一行が短い部分を考慮しても240wordsは超えていたでしょう。
このことから、語数をオーバーしても内容と構成で満点が取れるということは言えます。
内容と構成で満点くれるんなら、語数オーバーによる減点はないのでは?と思いました。
もちろん、語数オーバーが語彙や文法項目で減点された可能性は否定できません。ここは私も7点だからです。
したがって、語数をオーバーしても語彙や文法項目で満点を取れた方がいらっしゃるなら、語数オーバーでも満点を取れることが証明できます。
こればかりは何とも言えませんが、以上から語数をオーバーで減点されることはないのではないか、というのが私の見立てです。
とはいえ、私はsuggested length 以上の語数を書くべきではないと思っています。
なぜなら、英語を書けば書くほど、ミスをするリスクが高くなるからです。これは日本語でも同じです。
だから、語数オーバー自体による失点というよりは、語数オーバーをした内容で失点してしまってないか注意する必要があります。
また、試験の大原則として、指示(それがsuggestであったとしても)を守るのは、基本です。
なので、私自身もこれは反省点ですし、200wordsで効率的に満点回答を作れるように精進したいと思う次第です。
最後に、英語の試験にAIが導入されることを懸念する方がいらっしゃると思いますが、私はAIを導入した方がより公平なジャッジができると思っています。
なぜなら人間の知識は、あまりにも断片的で、偏っているからです。そして定期的にミスをする生き物です。
たとえ、明確な採点基準を設けていても、確実に採点者によってばらつきが出ます。
一方、AIは人間には到底太刀打ちができない量のデータに支えられており、人間のようなミスも犯さず、感情を介さずに客観的なデータで判断することができます。この点ははるかに人間よりも優れています。
もちろん、AIが万能だとはいいません。
しかし、自分の意見を論理的に相手に伝えるというエッセーという形であれば、AIが得意とするところではないでしょうか。
小説や詩を書いているわけではないのですから。
ということで、英検1級に4回連続で受験した経験を通じて得られたことについて書きました。これらはあくまで個人の感想です。合っているかどうかも、役に立つかどうかも分かりません。
しかし、自分なりに考えて、試した結果がここにはあります。
こんなことを言っておきながら、次回のライティングの得点が暴落することも十分ありえます。その可能性の方が高いです。
そのときはこの作品がより一層輝きを放つことでしょう。