リスク資産「100−年齢」は当てにならない

株資産などのリスク資産は「100−年齢」と良く言われます。例えば、私は36歳なので64%を株資産で運用しよう、ということです。しかし、私はほぼ全財産を株に投資しているため「100−年齢」の式に当てはめると私は赤ちゃんになってしまいます。

日経新聞のこんな記事を読みました。

退職後のリスク資産比率について書かれていました。

「年齢を重ねるにつれてリスク性資産比率を下げる」というのが、資産運用の世界では一般的な考え方だ。その考え方に沿ってよくいわれるのが、「リスク性資産比率(または株式比率)は100から年齢を引いた値にする」という経験則だろう。しかし、一方で退職したらリスク性資産比率を引き上げるという考え方もある。それは、退職金の受け取りで一気にキャッシュリッチな状態になることから、そのゆがみをどう調整するかという視点でみることだ。

退職金として現金を受け取ると、現預金比率が増えて、リスク性資産比率が減ります。

この記事ではこれをどうするかについて書かれています。

ざっくりいうと、投資初心者がいきなり退職金全額をリスク資産に入れると、価格変動とかでうろたえるだろうから、投資をしたかったら数年かけて時間分散させて投資する「分割投資」したらいいんじゃね?的なことが書かれていました。

現役時代に全く投資経験がない人が退職金で投資を始めるのは、価格変動がもたらす心理的な影響を経験していないだけに、急落すると慌てふためき、上昇すると落ち着かなくなるものだ。それは将来トラブルを抱える可能性が高い。退職後の資産活用方法は、運用以外にも対策はあることから、ここで無理をする必要はない。

脱線するが、そうした心理的影響を避けるには、たとえ少額でも、50代になってからでも積立投資で資産形成を始めておくことだ。たとえ、それによる積み上げられる資産額が小さくとも、価格変動のもたらす心理的な圧迫感と投資の収益性を経験するだけでも意味がある。これも退職準備だ。

「100-年齢」の経験則、退職後どうする?: 日本経済新聞

本当にそう思います。

リスク性資産を高めた方が儲かるのは頭では分かっていても身体は自分の思うように動かないということはよくあります。

例えば、絶対に売らないと言っていたのに、株が暴落したら意思に反して身体が勝手に動いて売却していた、という経験は皆様もあるでしょう。

そういう事態を避けるために、若い頃にできる限りリスクを取った投資をしておくのは良い心がけです。

レバレッジETFをNISAで投機して1000万円を失った経験をすると、VTIの値動きなんて凪そのものです。若い頃に培った精神面の鍛錬も老後の資産運用に活きてきます。

では、リスク性資産をどのくらい持てばいいのか、という話ですが、そんなものは人それぞれです。自分の生活が詰まない範囲で最大、というのが答えになるでしょう。

そこで私のバイブルである「敗者のゲーム」より、励みになることばを紹介します。

将来確実な収入が得られるとすれば、その収入を生み出す資産を現在持っているとみなすことができる。その価値は金融総資産の95%にもなる。この「おおよその将来の総収入金額」は、株価の上下に左右されず、安定的である。だから、「年齢に応じた割合で債券投資」をする必要はない。金融資産は、100%株式であるべきだ。

敗者のゲーム[原著第8版] (日本経済新聞出版)

このブログをお読みの皆まさにおかれましては、将来はきっと年金もたくさんもらえるでしょうし、退職した後も何かしらでお金を稼げる優秀な方ばかりです。

そうであれば、リスク資産を「100−年齢」にする必要はなく、「100%株式」であっても全然良いと著者のチャールズエリス氏は言っています。

問題は、資産が減ることによる精神的ショックにどれだけ自分が耐えられるか。

それは私たちが今どのような行動をするかにかかっています。

レバレッジ投資はそういう意味で老後への大事な準備にもなるかもしれないと思いました。